お題:愛すべき螺旋 制限時間:15分 読者:447 人 文字数:618字

愛ではないことだけは確かだ。
 そこには夢が詰まっている。
 窓の外では深々と雪が降り続けていて、時折思い出したように噴いた風ががたがたと窓枠を鳴らした。一般的な家庭用の電気ストーブの健闘も空しく、校舎の端に位置する理科室の室温が上がる兆しはない。少年は冷え切った指先を擦り合わせながら、机の上に広げたノートを見下ろした。
 冬休みの宿題という学生から恨まれる役目を負った参考書は、一年の終わりと始まりという貴重な時間を一秒も分け与えられることもなく、今こうして真白な姿を見せている。まるで校庭に降り積もった雪のような、それはそれはきれいな姿だ。それを見た理科の担当教員は、笑顔で少年に居残りを命じた。
 実のところ、居残りは今日が初日ではない。冬休みの終わりからそろそろひと月が経とうとしており、その間に他の居残り仲間たちはみな、少年を置いていってしまった。持つべきものは苦楽を分かち合う友だと、そんな謳い文句が書かれていたのは保護者向けの学校案内だっただろうか。中学校という名前で括られるこの建物の中で実際に繰り広げられているのは熾烈な蹴落とし合いであり、それは、冬休みの宿題をやってこなかった不真面目な生徒の間にすら当然のように存在する。
 少年は一文字も書かれていない参考書へとそっと指を這わせる。いくつかページをめくると、そこにはくるくると互いに絡まりあう何かの図が書いてあった。生き物の体を作るそれを何というか。かかれた問いを視線でなぞる。それの名、は。
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