お題:限りなく透明に近い男祭り! 制限時間:1時間 読者:1063 人 文字数:1376字

hellsing(ワイルドギース)
 実はライフルによる遠距離射撃は女性の方が向いている。癖が直しやすいからだ。実際ロシア――ソヴィエト連邦時代には女性スナイパー(ソナイベル)が多かったのは有名な話だ。
 所がどっこい、今は如何だ。激しくドンパチやっている相手にも自分側にも女の『お』の字も出てきやしない。
「何てまあつまらん事でしょうね」
 ジャムが多いM92Fの手入れをしながら(物資は限られている、大切に!)ベルナドットは嘆く。
「これで相手方に美人女性兵がいたのならば、あっちゅう間に殲滅して、『君がいるべき所はここじゃないだろう、俺の腕の中だ』とか何とか言えるのによう」
 それに参謀役のコンラッドが、
「言っていて脳味噌痒くなりませんか」
「何でだよ」
「ああじゃ、もう脳味噌喰われて空っぽなんですねそのヘルメットの下にある物」
 お前それが隊長に対する態度かよとアーマー・プレート(PCWC)装着し直していたコンラッドの背中を蹴り飛ばす。
「だから隊長、さっさと仕事終わらせましょうや」
 横合いから部下の一人が口を出す。
「俺もこんなむさ苦しい『どきっ!男ばかりの戦争祭り!手榴弾(パイナップル)ぽろりもあるよ!』とはオサラバしたいんですから」
「だったら敵の御大将に言えよ!」
 まるで駄々っ子のようにベルナドットは腕を振り回し怒鳴る。幾等弾入っていないからって銃振り回すのはルール違反ですよ、何人かの部下がブーイング。
「奴さんが出てこないからそっ首掻き切って終わらせられないんだろうが!」
「雇用主のお国の方からは『まだ陥落出来んのか』と言われていますけどね」
 アーマー・プレートを装着し直し、涼しい声でコンラッドが言う。アーマー・プレートも年季が入ってかなり瑕だらけ埃だらけだ。けっ、砂混じりの唾をベルナドットは吐く。
「だったら言っている奴等が前線出て来いよ。無能な上官が『謎の流れ弾』で良く死ぬって事が戦場では良く起きるって事身に沁みさせろよ」
 すると部下全員がベルナドットの顔をまじまじ見つめた。見つめられた方は隻眼を眇め、
「言いたい事あるなら言えよ」
「いえ」コンラッドが口を開いた「女性、女性と喚いているけど、隊長がこの内戦終わらせられていざ本命の戦いは敗北連戦って事にならないなと良いなと言う部下の暖かい真心で」
「だったら手前等、もっと優しい顔しろ!」
 いやああれはねぇ、ナンパ通り越してただのセクハラだしよ、見ていて気の毒になってくる、口説きならドライデンがが最高なんだから教えてやれよとまこと上司への想いがモロに出た囁きがさわさわ、さわさわと。
「だーっもうお前等!!Vate al infierno!Allez en enffer!Go to hell!クタバレ!」
「無駄に同じ意味の罵倒を複数言語で言わんといてください」
 コンラッドが冷静に突っ込みをした時、マンパック型無線機から声がした。如何やら一個団体が潜んでいる地区が近場にあるらしい。それを殲滅せよと。ったく、言うだけは簡単だよな、こちらは安月給で扱き使われているって言うのによ。
「よっしゃ、お前等、祭りだ祭りー。準備しろ、移動すっぞ」
 あいよー。部下達はそれに応じる。
 さあ祭りが始まる、男ばかりの、粉塵と爆煙と命が無造作に放り投げられる益体も無い祭りが。



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