お題:無意識の祖父 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:822字

一期一会 ※未完

今日の予定はすべて潰された。
友達と映画を見に行く約束をしていたのに、夏休みということで小学生の従姉妹が来ることになり行けなくなってしまった。
私だけ家に残っていることが不運だった。
久しぶりに会えて嬉しい気持ちもある、気持ちを上書きして切り換えることにした。

ほどなくして家に現れた従姉妹はだいぶ変わっており、私は驚いた。
「やほやほー久しぶり久しぶり!」
ハイテンションというか、動作がうるさい。
せわしなく動き回り、好奇心旺盛な犬のようにその辺に置いてあるものに興味を示していく。
「気にしないでいいよ~」
気になるってば。
言いたい気持ちは押さえて、優しげに対応する。
宿題の読書感想文を書こうと本を広げると、従姉妹は光に集まる虫のごとく私の周りをうろつく。
思えば好奇心が強い、けれど人見知りっぽいのは祖父の性格で、この子はその祖父が大好きだったんだ。
そんな中で彼女は文面から知っている四字熟語を指差す。
「いっきいっかい!」
一期一会を彼女はそう読んだ。
「いちごいちえ、だよ」
彼女は横に首を振る。
「いちごいちえだけどいっきいっかい!」
小学生らしい理論を掲示されて対応に少し困ってしまった。
しかしそのとき私は何を言いたいのか本気でわかっていなかった。
「はじめて見たとき、読めた?」
一期一会。
いっきいっかい、と読んでしまった記憶がある。
恥をかくことはなかったのですぐに直すことはできたはずだけれど。
「読めたよ」
強がりを込めていう。
すると、すごーいと手を叩いて彼女は言う。
「はじめて見たとき、いっきいっかいだったからいっきいっかい。だってこの漢字は出会いの言葉なんでしょ?」
「そうだよ」
「出会ったときにそう読んだから、この漢字はそう読むの! じーちゃんは会ったときじーちゃんだし!」
不思議と納得するところがあった。
私が正しい読みを教えたことは、出会ったときの印象を無理矢理変えるような感じがした。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:kai gou お題:無意識の祖父 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:381字
実家の奥の部屋に祖父の遺影が飾ってあった。もともとは小さな写真だったものを法事の際に加工して大きく引き伸ばしたものだ。元写真を撮影した頃、祖父の年齢は30歳く 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:zaturon2ji お題:思い出の狙撃手 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:827字
「なかなか見つかりません、姉さん」「当たり前じゃ」 私の言葉に対し、友人は冷たく一言。「もうどれくらい前の話? 何十年?」「そこまで前じゃない!」 私は今いくつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:DDT お題:ダイナミックな手 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:374字
寝入りばな、薄く開いたドアの隙間から様子を伺っている気配がする。体が重い。4本の手足がいつもの1.5倍に膨らんで、末端にゆくほど熱い。このままこの意識が遠ざかれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:アブノーマルな弁護士 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1094字
法廷では無論、決められた場所に決められた人物がいないとならない。被告人が入り口付近をうろついていてはいけないし、傍聴席に裁判長が座っていたりもありえない。法廷 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:煙草と恋 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:357字
日々募る息苦しさとつらさに耐えきれなくなり、友人に電話を掛けた。今電話して大丈夫?と尋ねると、『タバコ吸おうとしてたんだけど』と返事が返ってくる。それでも友人 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:かっこいい体 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:416字
ゴーレム技師の友人の工房で、最新型のゴーレムを見せてもらった帰り。錬金術師の親友はひどく機嫌が悪かった。「ゴーレムが人間の作り出した中で最も役に立つ最高の創造 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:かっこいい体 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:201字
昔からバッキバキの筋肉と言うものに憧れがあった。とりあえず、腹筋を割ってみたい。結局今までぷにぷにのお腹のままなのだ。「ふおおお…………ふんっ」 やる気満々で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:記憶の極刑 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:876字
無欲だね。と誰かに言われたことがある。教師だったのか、親族だったのか。それを言われた時、僕は『そうだと思います』と心の中で思ったのか、もしかしたら口に出してし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:記憶の極刑 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1009字
自己顕示欲が肥大化した人間の目立つ昨今、「目立とうとしてやった」という類の犯罪も比例して増加している。「この国には謙譲の美徳があったはずだ。それを今どきの連中 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:苦し紛れの幻覚 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:851字
耳を塞ぐと、周りの音が聞こえなくなる代わりに、ぼーっというなんだか不思議な音が聞こえるようになる。それがなんでか分からないから、僕は何度も耳を塞いだ。 後にな 〈続きを読む〉

自走式にぼしの即興 小説


ユーザーアイコン
一期一会 ※未完
作者:自走式にぼし お題:無意識の祖父 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:822字
今日の予定はすべて潰された。友達と映画を見に行く約束をしていたのに、夏休みということで小学生の従姉妹が来ることになり行けなくなってしまった。私だけ家に残ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
東京の曲 ※未完
作者:自走式にぼし お題:東京の曲 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:869字
某有名ロックバンドが大好きなヒロシはライブを見に東京までやってきた。移動費用だけで3万ほどかかってしまっているが、それでもなお彼の情熱は冷めやらぬ。12月の地 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
哀れな情事 ※未完
作者:自走式にぼし お題:哀れな情事 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:728字
知らないからこそ繋がることが許される。君は僕の視線を追って、カーテンを閉めた。「これでお月様も見てない。誰も見てないから」嬉しそうで哀しそう。そんな曖昧な表情 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:自走式にぼし お題:哀れな仕事 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:802字
颯爽と走り抜けていくのは隊長、アルフ・アクベンス。深紅の爪を装備し、正面から蹴散らしていくのが得意でその歩みを止めることは誰にもできない。濃厚な赤絨毯が広がっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
つみき ※未完
作者:自走式にぼし お題:計算ずくめの殺人 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:501字
あと誰かひとりが来れば助かる。そういうルールで生きていた。孤児院と呼べるその場所は複数人を賄えるだけの蓄えも稼ぎもなく、小高い丘の上で風化していた。時に木を切 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
工業地帯 ※未完
作者:自走式にぼし お題:少年の団地 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:737字
黄昏時。雅に言うならば逢魔ヶ時に、光の屈折のためか遠くから見えなくなる団地があった。町外れで工業地帯より奥まったにあることから誰かが小学校へ通う距離ではなかっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
正月 ※未完
作者:自走式にぼし お題:打算的な正月 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:622字
「雪が降り始めたわ!」立ち上がろうとして睦月は膝をこたつにぶつけた。あと数日で私の名前がくると張り切ってやまない彼女は曇った窓から雪の気配まで察知したらしい。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:自走式にぼし お題:難しい成熟 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:762字
小学生のときに朝顔の花をひとりだけ枯らしてしまった。そこから私の人生で何かを育てる行為は苦手そのものとなった。そしていつしか『育』の字との相性の悪さに直面した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:自走式にぼし お題:穢された小説上達法 必須要素:ちょんまげ 制限時間:1時間 読者:26 人 文字数:1595字 評価:0人
ーー物書きなんて儲からない仕事やめておくれ。紙代だって高いんだ。墨にお金をかける余裕もないとどうしてわかってくれないんだいーー。脳内に反芻する、母親の声。あれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:自走式にぼし お題:刹那の恋人 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:519字
一目惚れはすなわち殺人衝動のことである。その人の容姿や人となりが美しく、魅力的であることが蠱惑的に感じてしまうのだ。感覚の鈍い人間が得る一目惚れは結婚するには 〈続きを読む〉