お題:激しい魔物 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1118字

奪えば人は死に到る。
 平然と人を傷つける連中を殺した。ただ殺した。殺したかったらから殺した。憎いから殺した。愛しさから殺した。せつないから殺した。刃物で、鈍器で、自分の手足で、殺した。
「得た物はあったか?」
「なーんにも、虚しいだけ」
「だよなあ」
 人を殺したら未来は開けないと言うけれども、僕が初めて人を殺してから早三年。高校生になった今でも別になにも不幸と出会っていない。むしろ幸運なことばかりだ。例えばこのお兄さんと出会えたこととか。恋人がちょっとの間出来たとか(なんかイジメられていて無理矢理告白されたんだって、怖いね世の中)。
 弟と妹は今日も元気にしていたし、母さんはご機嫌で、父さんは腰痛がだいぶ良くなったとか。意地悪な大叔母は亡くなって、伯父さん伯母さんの顔色もだいぶ良くなっていた。
 強いて言うなら、高校受験がちょっと失敗した(第一志望に落ちた、もともと積極的では無かったけれども、それでも凹んだ)だけで、やっぱり僕の人生は幸福に包まれている。
「まあやっぱり大義名分がある殺人って楽だよなあ、ほんと」
「お兄さんもそう思う?」
「思うよ。本当に。あとお兄さんはやめろ、おじさんで良い」
 この人をからかうには必要以上に持ち上げれば良い。ってのはこの人と関わる人全員が知っている。
「なんかこう、はあ~……」
「どうしたんですか? ため息ついて」
「いやさあ、最近こう、拗らせちゃった奴ばっかり相手にしてたからさ」
「あ~……」
「もっと早く出会っていたら、わざわざ倒す必要性になんてなかったのかなとか思っちゃうのよ」
「僕みたいに?」
「自覚あるなら軽々しく人殺しやめるべきじゃないか?」
「う~ん。お兄さん風に言うなら『力を持っているのに誇示しないのは不誠実だ』って奴ですよ。だいたい殺人罪には引っかからない殺人しかしてませんし」
「まあ、生きている方が辛いもんな実際」
「みんなそこわかってくれないんですよね」
 自由を奪われてただ無意味に生きている、それがどれだけ辛い物なのか。僕は知る機会があった。だから命を奪わないような殺しをする。その方が苦しんでくれるから。
「しかしまあ、今日のこれは完全に八つ当たりだよ。全く、いい歳した大人がなにやってんだか……」
「良いじゃないですか。それで救われる人がお兄さん以外にも何人かいるはずですかっら!」
「ぐぼあ!」
 倒れながらも武器を取り出そうとした男の鳩尾を思い切り蹴飛ばす。キックはパンチの何倍かの力があると聞いたことがあるけれども、どうやらそうらしい。
「暴走族をボコりにボコる。超能力持っている人間がやることかね?」
「一応、明日から安眠出来る人が増えますよ」
「だな」
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:激しい魔物 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:543字
往年の、高校野球ファンは、言う。 「甲子園には魔物が住む」 と。 センバツ優勝経験もある先発投手がこの試合も登板し、A高校は、試合を有利に進めていた。しかし、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:zaturon2ji お題:思い出の狙撃手 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:827字
「なかなか見つかりません、姉さん」「当たり前じゃ」 私の言葉に対し、友人は冷たく一言。「もうどれくらい前の話? 何十年?」「そこまで前じゃない!」 私は今いくつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:DDT お題:ダイナミックな手 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:374字
寝入りばな、薄く開いたドアの隙間から様子を伺っている気配がする。体が重い。4本の手足がいつもの1.5倍に膨らんで、末端にゆくほど熱い。このままこの意識が遠ざかれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:アブノーマルな弁護士 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1094字
法廷では無論、決められた場所に決められた人物がいないとならない。被告人が入り口付近をうろついていてはいけないし、傍聴席に裁判長が座っていたりもありえない。法廷 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:煙草と恋 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:357字
日々募る息苦しさとつらさに耐えきれなくなり、友人に電話を掛けた。今電話して大丈夫?と尋ねると、『タバコ吸おうとしてたんだけど』と返事が返ってくる。それでも友人 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:かっこいい体 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:416字
ゴーレム技師の友人の工房で、最新型のゴーレムを見せてもらった帰り。錬金術師の親友はひどく機嫌が悪かった。「ゴーレムが人間の作り出した中で最も役に立つ最高の創造 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:かっこいい体 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:201字
昔からバッキバキの筋肉と言うものに憧れがあった。とりあえず、腹筋を割ってみたい。結局今までぷにぷにのお腹のままなのだ。「ふおおお…………ふんっ」 やる気満々で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:記憶の極刑 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1009字
自己顕示欲が肥大化した人間の目立つ昨今、「目立とうとしてやった」という類の犯罪も比例して増加している。「この国には謙譲の美徳があったはずだ。それを今どきの連中 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:苦し紛れの幻覚 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:851字
耳を塞ぐと、周りの音が聞こえなくなる代わりに、ぼーっというなんだか不思議な音が聞こえるようになる。それがなんでか分からないから、僕は何度も耳を塞いだ。 後にな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ばにばに お題:有名な俺 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:937字
学校で有名な彼女を恋人にしたことによって、「……」 色んな視線を浴びることが多くなった。ちょっとした有名人のような感じだ。「どうしたの?」「いや……なんでもな 〈続きを読む〉

ダツ・ Ambroseの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:記憶の極刑 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:876字
無欲だね。と誰かに言われたことがある。教師だったのか、親族だったのか。それを言われた時、僕は『そうだと思います』と心の中で思ったのか、もしかしたら口に出してし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:苦し紛れの幻覚 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:1131字
それはイジメであったのか、それともいじりであったのか、あるいは親しさからのじゃれあいだったのか。今となっては昔のことで、だけれども、どうしてか思い返してしまう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:僕の裏切り 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:1100字
近い。とても近い。距離が近い。 この部室には無駄にパイプ椅子が置いてある。だから別に俺の隣に陣取らなければいけない理由はない。これがゲームをしていたりすればそ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:凛とした借金 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:883字
ニヤニヤと、男を見つめる少年。なんともかんとも、眩しさすら感じるその顔を向けられて、一体どういう反応を返すべきなのか困る。こんな世界と人生なのだから、これから 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:朝のわずらい 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:906字
朝が騒々しい感じになることは、煩わしいことなのか、それとも喜ばしいことなのか。土曜日の朝、目が覚めて二階から一階へ降りていく。数年前までは音すらしなかったはず 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:思い出の空想 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:980字
「私とあの人は、なんとなく付き合って、なんとなくずっと長く居続けて、なんとなく歳をとって、なんとなく結婚することになって、なんとなく子どもと幸せになって、なんと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:犬の顔 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1036字
ザドーさん(シベリアンハスキー系の交配種、二歳、モフモフ)の顔はとても凜々しい顔をしています。その凜々しさから、みんなザドーさんと敬称つきで呼ぶ。だからもしか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:日本式の真実 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1000字
ジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックス、プロレスゲームで再現すると腕のロックが見えづらくてただ肩車しながら後ろに倒れているようにしか見えない。 あ、こ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:楽しかったカラス 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:918字
カラスが黒くなった理由のお話。昔カラスは人間と一緒に暮らしていましたが、黒い絵の具で身体を汚してしまったあとは誰にも興味を持たれなくなってしまい、人間と枝を分 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:白い私 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:1064字
「強かな魔女がいるとは聞いていたが、こんなに美しいとは思わなかった」 その男が現れたのは、いつであっただろうか。私がまだ白い魔女として恐れられていた時代で、男が 〈続きを読む〉