お題:難しい雑草 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1015字

思うに人とは。
 無意味に生きることすら許されてはいない。死んだように生きている。だけれども、やはり死んでいるのだから、もう死ぬことすらすらできない。望んで起きたことなのか、それとも受け入れてしまっただけなのか。わからない。わからないが、とにかく、死人という人生を全うするしかないのだろ。
『ま、それを肯定するのは楽だがね』
 その男も、また私と同じようなタイプである。すなわち、生きながらにして死んでいるような人生を歩んでいる。
『俺とあんたの差がどこにあるのかわからないけれど…… どっちも名を知られていない、雑草みたいなもんじゃ無いか? 俺は単純に考えているが、あんたはどうも、難しく生きている。なあ、雑草として生きているなら、ただただ無意味にでも繁茂し続ければ良いんじゃないか? そしたら…… その内誰かが鬱陶しく思って排除してくれると思う。そしたら、ただの雑草が、厄介な雑草になる。そういう人生をおめおめと進んでいった方が、多分もっと楽に生きられる』
 私はその場で男の言うことに肯定出来なかった。騙されたように家に帰されて、一人になった時、その言葉が頭の中で循環し続けた。そうして、改めて自分を振り返ってみると、ああ、そうか。
(私は、生きたいんだ)
 ただ、単純なことだった。ただ単純に生きていたい。無意味にでも、なんでも、とにかく、生きていたいと願っていた。こうなってしまった人生を否定するのは簡単だった。だけれども、それは歪な考え方だった。
(悔しいなあ…… すごく、悔しい)
 そんなことに、あんな冴えない男をきっかけにして気がつきたくなかった。もっと早く、自分の手で作り上げておくべきだった。どうして、よりにもよってあの男だったのだろうか。他の誰かだって、似たようなことを言っていなかったのか。
(違う。私は誰の言葉にも耳を貸してなかった)
 あの男以外には。
 ベッドの上で毛布を被り、身体を丸めているから、身体が熱くなっているわけではない。あの男を改めて意識しているから、熱くなっているのだ。だから、凄く凄く自分の調子が良いという気すらある。
(悔しい。悔しい。悔しい。悔しい。悔しい)
 悔しい。あの男だけが、私を否定しなかった。否定したのは、私が死のうとした時だけ。それ以外は、いつも肯定してくれた。心配もしてくれた。
 どうしてなのか、わからない。たいした理由でもないだろう。だからこそ、恥ずかしくて、悔しかった。
作者にコメント

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