お題:失敗の宿命 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:1234字

失敗者
 受験に失敗した僕は裏取引に応じるしかなかった。
 叔父は今まで積極的に接触したことはなかったけれど、きっと大丈夫。
「こんにちわ」
 インターホンを鳴らすと年老いた叔母さんが出迎えてくれた。
「例の話できました」
「そう。中に入ってて待ってて」
 居間に通され、適当な椅子に座った。
「……」
 居間は今どきのフローリング。大きなテレビの前にソファー、ダイニングキッチン前のテーブルと椅子(そのうちの1つに僕がいる)、そしてたくさんのトロフィーが飾ってある棚があった。
 全部叔父さんが取得した成果だ。
 親に聞くところ、いろんな部活を助太刀して優勝に導いたのはまず1つとして、個人としていろんな企業に出資してアドバイザーの立場に携わりこれもまた成功を導いた。
 つまりはお金持ちで、成功家だ。
 僕と比べてまさに天と地の差があった。
「待たせたね」
「いえ、こちらこそ時間をとってしまいすみません」
 居間に現れてたのは、ジャージ姿の男ーー叔父さんだった。
 こんな人という言い方はあれだけど、こんな人が成功してるなんてとてもじゃないけど信じられない。そのへんにいるおじさんと大差ない。
「話は聞いてるよ、裏口から入りたいんだって」
 両手をテーブルの上に置いて、叔父さんは真剣な瞳をこちらにむけた。
「はい、そうです」
 威圧感というのはなかった。父親と話してるときのほうがよっぽど萎縮しそうだ。
「こちらが提供するのは構わない」
「ありがとうございます」
「でも、タダっていうわけにはいかないよね」
 そりゃそうだろう。
 ○○大学は1流大学ではないがそれなりに名前が知られたところだ。そんなところに失敗した人物がすんなり入るなんて話は出来すぎてる。
「なにを……したらいいのでしょうか」
 不安が過ぎった。
 僕にできることはなんだろうかと思考するが浮かばなかった。
 どこまでも平凡ーーそれが僕という女学生だった。
「簡単なことだ。家族になってもらう」
「はい?」
 なんか聞きなれたような聞いてこなかったような言葉が耳に入ったような?
「もう一度言おう。家族になろうとね」
「家族……ですか?」
 空耳ではなかったようだ。
「家族と入ってもすでに僕には母と父がいますが、あなたの子どもになれということでしょうか?」
「それではないな。文字通り同じ一族になってもらう。手始めに息子の手ほどきを受けてもらおうか」
 手が震えた。
 それはつまり……身体を売れということなのだろうか。出るところの出てない僕ではあるが女ではある。それは確かに武器になるかもしれないけど……いや違う。
 なっちゃいけないところだ。
「ぐ、具体的になにをしたらイイノデショウカ」
 口がうまくまわらなかった。
「まず術式をおへその下に埋め込む」
「へっ? 術式……?」

 そう術式ーーそれが叔父さんが成功した例なんだと僕は後に知ることになった。
 そして家族という枠組みに入った。
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