お題:彼と情事 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1081字

男女七歳にして席を同じゅうせず。
「ハーレムだねえ~~~?」
「否定出来ねえ」
「色男だねぇ~?」
「……それは自分で言うのはなんか、違うと思う」
「あらまあ控えめなこった」
 かつてはお互いに殺し合った中であるということを忘れてしまいそうになる。カーメラにとっては(悪い思い出しか残ってはいないとは言え)故郷に戻れなくなった原因であるというのに、どうしてこうも親しみをもって接してくれるのか。紳慈にとっては理解しがたいものである。
「しかし、その、なんだ、あまりよろしくないんじゃないかやっぱり」
「ん~~~? なに言っているかわかんないぞ~? きちんと言ってくれないと、アタシ、こっちの『空気』なんてわかりっこないしなあ~~~?」
 ほれほれ言うてみろと身体を密接させてくるカーメラ。悪の女魔道士で、一つの国を窮地に陥れかけていたそんな女。最も彼女も唆されてだけであり、さらに直接的な悪事を行う前であったからそこまでの悪党というわけではない。わけではないが、やはりそれまでの彼女の歪んだ行いが許されるわけでもない。事実まだあの世界には彼女を恨んでいるものも少なくない。
 しかし、そうは言っても妙齢の女性である。たしかにあっちの世界においても、結構快活であったし、それでいて無垢な被害者であることも拒んでいた。彼女の取り柄は積極性。だから地球の日本にほっぽり出されていても、こうして住処や仕事を探して生きているのだろう。
「年頃の娘さんがしょーもない男を泊めるなんて、あっちゃならないでしょ」
「そうだねえ~。しょ~もなさすぎて泊まる場所まで決めていなかった男の人なんて、碌でもないに決まっているよねえ~?」
「……」
「はっは~~。そこで凹んじゃうんだ~~~。ハハハ! 紳慈くんを介護したくなる女の子の気持ちがちょっとだけわかってきたぞ~?」
 うりうりと紳慈の脇腹を突っつくカーメラ。別に宿を取らなかったわけではない。今の時代簡単に見つかると思っていたし、だいたい日帰りで帰るはずだった。日帰りにならなかったのは彼女のせいであるし、スマートフォンを落としたのも…… いやこれは全面的に紳慈が悪い。
「まあまあ、そういう日もあるさ。アンタみたいなタイプ前にしないと、それこそべったり触ってくるおっさんがいてさあ。なんかどこの世界も変わらないんだね~~~? おっさんはそんなに女の子が好きなのかい?」
「たぶん」
「はあ~! やってられないねえ。まったく、仕事中もちょっとアタシが良いからって、写真料金取ろうかねえ」
 ハッハッハと笑いながら、紳慈とカーメラは久しぶりに楽しい酒を煽っていた。
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