お題:高貴な小説訓練 制限時間:1時間 読者:21 人 文字数:1208字

小説屋敷の令嬢 ※未完
起 何をやってもすぐに飽きてしまうお嬢様が小説の訓練を始める

承 屋敷の者は誰も小説の書き方を知らない

転 小説にハマったお嬢様が屋敷の者に小説を教え始める

結 お屋敷はのちに小説屋敷と呼ばれるようになった。
  年老いて孫に語るお嬢さまの昔話

「決めましたわ。今度は小説を書きます!」
お嬢様は声高に宣言した。ある晴れた朝、穏やかな団らんの最中だった。
執事たちはにわかに落ち着きを失い、メイドたちは青ざめた。

―――また、お嬢様の悪い癖が始まった!

三社院 麗華嬢は、この小さな町の大きなお屋敷の領主の一人娘である。
たいへんに飽き性なお嬢様で、屋敷の者を振り回してはこれまでに幾度となく事件を起こしてきた。
今でも使用人たちの口に上る印象的な出来事といえば、やはりサムライ事件だろう。

領主様が貴族会議に出るために屋敷をあけたある日のことだ。教育係の目を盗んで庭師の少年と最新の活動写真を見に行ったお嬢様は(この時点で手のつけようのない奔放さである)、銀幕のサムライの姿にいたく感銘を受けて帰ってきた。夕方、少年ともども領主様の前に引き出され、厳しいお叱りを、しゅん、として受けながら、お嬢様は必殺の決め台詞を口にした。

「決めましたわ。私、サムライになります!」

このお嬢様、さては全然話を聞いていないな!?
その場にいた誰もがそう思った。領主様は呆れ返りながら、お嬢様と少年に謹慎を申し渡した。
さて、大変なのはそのあとである。お嬢様は、口に出したことは絶対に成し遂げようとする性分を持ち合わせていた。謹慎中、教育係から聞いたサムライの知識を頼りに、「主(あるじ)」を探して屋敷を抜け出してしまったのだ。
サムライの時代が終わってはや数十年。もはや仕えるべき主など見つかろうはずもない。

「おとうさま、おかあさま、お世話になり申し仕りて候、拙者、しばらく主を探すで候」

お嬢様が屋敷を抜け出した次の朝、冗談のような書置きを見つけた屋敷の者たちは総毛立った。
領主様は直ちに警察に捜索を始めさせ、屋敷の者も総出で、必死で探すこと七日七晩。
お嬢様はついに、何十キロメートルも離れた東京で捕らえられた。本物の侍を探して、あわや旧幕府勢力の残党と接触をしよう、というところだったらしい。何がどうしてそうなってしまうのか。
しかし、それがこの三社院 麗華という人間なのだった。
厄介なことには、この騒動のあと数週間もするとこのことをけろりと忘れて、保安官になるために亜米利加へ渡ろうとしたりする。恐ろしい行動力である。

話を戻そう。
今、彼女は小説家になろうとしている。恐らくは、昨晩読んだ伝記の影響だろう。
屋敷の使用人たちは、例の事件以来、屋敷内でお嬢様を満足させるために様々な職能を積んだ。
しかしこの朝まで、屋敷の中には小説家の経験のあるものは誰一人としていなかったのである。


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