お題:ナウい列車 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:603字
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時代鉄道
 時代遅れとなった僕のスマートフォンに、彼女から20年振りに連絡が来た。今どきの人々は、埋込型デバイスによって通信を行っている。彼女は僕のためにわざわざ、旧時代の連絡手段を持ち続けてくれたのだ。
 要件は単純で、久しぶりに私に会いに来てといったものだった。彼女は僕達が子供の頃から住んでいた中心街区にまだ居る。一方で僕は、世間から見放された旧市街区にひっそりと暮らしていた。
 新時代の風を感じるのは好きではない――しかし、彼女と久しぶりに会えるというのは魅力的な誘いだ。僕は彼女に、会いに行くと返信した。
 中心街区へ向かうために列車に乗るのも、20年振りのことだ。乗り方さえ分からない始末で、駅員には散々迷惑をかけてしまった。ホームに――それすらも記憶にあるものとは大きく形を変えていたが――やって来た列車は、まるで20年前のそれとは違っていた。
 巨大なパイプの中を滑るように入ってきた列車は、音もなしにホームに停車する。ドアが開くと彼女が立っていて、僕に向かって手招きした。
 彼女は年こそ取っているものの昔の面影を残していて、寧ろより綺麗になっていた。僕は彼女に手を振りながら乗車して、中を見渡した。
 車内も見覚えのあるものとは大きく違っていて、ホログラムによって乗客への案内がなされていた。それを見て僕が「ナウい列車だな」と言うと、彼女は
 「その表現は全くナウくないね」
と言って笑った。
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