お題:進撃の弔い 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:499字

去りし者と去り行く者へ
陽炎が揺らぐ。
蝉の鳴き声が五月蝿い。

じりじりと照りつける太陽。

また、この季節がやってきた。


某年八月某日。

何もなくなった街を、幼い私は母親の手を握りただぼうと眺めていた。その時の母親の表情は安堵と悲壮が入り混じった複雑なものだった。

爆ぜた弾、崩れた建物、燃えた木々。

呆然とする人、身を寄せ合う人、その場で座り込み両手で顔を覆う人。

皆を囲うように、ぽつんと置かれた箱が朗々と一つの終わりを告げたのだ。


今年もまたやってきた。
勇敢だった者たちが静かに眠るこの石碑に。

私は自分の暮らす施設の職員に付き添われながら、ゆっくりと花を添える。

数年前まではここまで自力で行けていたのだが、今となっては足が上手く動かず車椅子に座っていないといけない状態になってしまった。

私は車椅子を引いてくれている職員を見ながら、仕事とはいえ付き合わせてしまって悪いわね、と呟く。

あと此処へは何回来られるのだろうか。
次、此処へ来る時はもう少し身軽だろうか。

石碑の隣で緩い風に仰がれる旗。

遠くから汽笛の音が聞こえたような気がした。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:inout お題:限界を超えた殺し 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:142 人 文字数:3279字 評価:0人
やあ、どうもどうも、見たところ麗しくはない様子ですがごきげんいかが?良くない? まったく、欠片も、少しも良くない?なるほどなるほど、たしかにそうだろうね、そうで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:家葉テイク お題:限界を超えた殺し 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:100 人 文字数:3468字 評価:0人
「無理なものは無理だ」 暗がり。 締め切られたカーテンが一切の光を遮る室内で、男はカーテン同様の頑なさでピシャリと言い切った。「何故だ」 男の対面。 破れや解れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:限界を超えた殺し 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:117 人 文字数:2937字 評価:1人
街の中心部には、誰も近寄らない。周囲には店が集まり、見世物や芸をするのにちょうどいい広場があるから、むかしは活気にあふれていたという。今のように人気のない、寂 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:限界を超えた殺し 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:165 人 文字数:4143字 評価:1人
僕の家族は新興住宅地に家を買って引っ越したのだが、新築の癖にこの物件、幽霊が出る。 ひとりでドアが開くとか悪夢を見るとかだったら、ただの欠陥住宅やシックハウス 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:*✿ お題:限界を超えた殺し 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:59 人 文字数:4345字 評価:0人
---彼女の持ってきた小説作品に一通り目を通すと、文学部部長は眉を寄せて口を開いた。「悪くはないと思う。…でも、これは…小説とは、言えないわ」「……小説ではない 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:黒尽くめの感覚 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:1262字
“ソレ”は唐突にやってきた。いつも感じているその感覚が、すっかりと無くなってしまったのだ。この感覚がないのはいつぶりだろうか。そんな事を考えながら部屋を出て、廊 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:どす黒い痛み 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:267 人 文字数:1669字
約束だね。なんて、彼女は言った。そうだね、と僕は答えた。僕の休日の趣味は山登りだ。今山に来ている。草いきれの香りがする。木々の合間からは町が見える。目を凝らせば 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:蒼腸 お題:白い小説練習 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:142 人 文字数:485字
【白い小説練習】 悩みの種がある。 それはこの白い原稿用紙だ。 私は小説家であるからして、原稿料でまんまにありついている。最近スランプ気味だと感じていたがついぞ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:高貴な黒板 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:241 人 文字数:156字
「ふはははは黒板に爆弾を仕掛けてやった!!!黒板ごと他界したくなければ大人しく誰かよこせ~ぃいぇいいえぇい♪」 ~まさかの爆発~ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:春 明狐 お題:汚れた挫折 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:705 人 文字数:1003字
「明けましておめでとう……ってお前、冬至祭のやつ、まだ片づけてなかったんかよ」「今年は絶対お前らと関わらないからな。昨日設置しなおしたんだ」「大みそかにかよ。ほ 〈続きを読む〉

東雲しいかは文を書きたいの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:進撃の弔い 必須要素:爆弾 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:499字
陽炎が揺らぐ。 蝉の鳴き声が五月蝿い。 じりじりと照りつける太陽。 また、この季節がやってきた。■ 某年八月某日。 何もなくなった街を、幼い私は母親の手を握り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:それいけ作品 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:631字
最悪。 ぼそ、と吐き捨てるように呟きながら私は天を仰いだ。 期末のテストが返された。結果は散々。赤点の教科もいくつかある。 「勉強、してなかった訳じゃないのに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:平和と妄想 制限時間:1時間 読者:19 人 文字数:626字
ふと空を見上げる。 雲一つない空を悠々と太陽が我が物顔で陽を照らしている。 まったく、俺の気も知らないで呑気なものだ。 俺は荷物を背に負い、長年愛用している武 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:残念な許し 必須要素:三島由紀夫 制限時間:1時間 読者:26 人 文字数:824字 評価:1人
いつからだろうか。 酔うのを忘れたのは。 仕事が終わり、今日も終電に乗り自宅であるアパートへ着いた。 うつらうつらにポケットから鍵を取り出し扉の鍵穴へ差し入れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:帝王のヒーロー 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:477字
いつの世にも現れるものだな。 冠を被った男は目を閉じ迫りくる刃の気配を感じながら自らの運命を受け入れた。■ 帝国は何百年以上も間、王家が政治経済一切を牛耳って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:未熟な熱帯魚 制限時間:1時間 読者:11 人 文字数:538字
見られている。 じっ、と。 一回りもふた回りも、いや、それ以上の巨体たちが見ている。 ある者は数奇な目で、ある者は無関心そうに、ある者は目を細めて見ている。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:間違った血液 制限時間:30分 読者:36 人 文字数:580字
吸血鬼は美食家だ。 吸血鬼といえば人間や動物の血を飲むこととして有名だが、加えて、大抵の吸血鬼にはそれぞれ血の好みがある。 ある吸血鬼は牛や鹿といった草食動物 〈続きを読む〉