お題:勇敢な慰め 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:992字

ひとつになれないわたしたち
誰も僕に話しかけない。

目線もくれない。

仲間はずれとか、いじわるとか、そういうことではない。単に、こんな状態の人間を処理する技術がないだけだろう。

今のわたしはきっと粗大ゴミにも出せない。

高校生にもなって、…んちをもらすなんてことをやってしまったわたしなんて。



わたしが漏らしたのにはわけがある。

とある魚を食べてしまったのだ。

その身は脂が乗ってとても美味しそうだった。

おいしかった。

だからたくさんたべた。

それだけのことだったのに、わたしには重すぎる代償が降りかかった。



今は仲のいい友人と卒業旅行中。

とある遠洋にある小さな島に遊びにきていた。

わたしたちはみな釣りが大好きだから、船をチャーターして沖で釣りばかりしていた。

そしてその魚と出会った。

その名は後で知ることになるが…バラムツ。

彼は釣り上げた瞬間からわたしの食欲をかき立てた。

もとは食べるつもりで釣りをしていたのではなく、ただの遊びであったので、友人たちはみな釣果を海へ帰していたが。

わたしはこっそり彼を持ち帰った。

その誘惑にはかなわなかった。

意地汚いと思われたくはなかったし、誰にも分け与えたくなかった。

深夜、こっそり彼をさばいて切り身にした。

とても、美しかった。

甘美で、耽美で、美味であった。

五感すべてで彼を感じたのだ。

わたしたちはまぎれもなくひとつになっていた。

つもりであった。



バラムツの脂は人間にとって消化することができない異物だ。

それが体内に入るとどうなるか。

ノンストップ…直通特急となって下のトンネルから出てくるのだ。

ブレーキはきかない。

わたしは彼を受け入れたのに、彼はわたしに取り込まれることを拒んだのだ。

いや、もしかすると、拒んだのはわたしの方だったのかもしれない。

とにかく、わたしたちははかなく終わった。

わたしの尊厳も、終わった。



そうして今に至る。

わたしは彼を食べた翌朝、帰りの船にいざ乗るときになって、そうなったのだ。

すべてが変わってしまった。

誰もわたしを拒みはしない。

しかし、受け入れもしない。

わたしも、彼らに取り込まれようとはしない。

すこし、足りないのだ。

わたしたちは誰も、この状況を消化する機能を持っていなかった。

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