お題:僕の嫌いな大学 制限時間:15分 読者:39 人 文字数:1104字

テンポーザン
 僕の通うOK大学は全国でも指折りのFランだ。とりあえず大卒という肩書が欲しい人が通うための大学と言っていい。私大ながら学費は国公立並みにお安いところも魅力だろうか。
 一般教養の講義でアルファベットを教えてくれるし、分数の計算も丁寧にやってくれる。ある意味理想的な再学習環境だ。もっとも、みんな寝てるけども。
 そんな自他ともに認めるFラン大学であるOK大学の生徒――OK生が唯一、「こいつらにはFランってゆわれたくないし」と思っている大学がある。
 それがOK大学の宿命のライバル、駄早生大学だ。学内では「ダセーワ大学」と呼ばれているので、ここでもそう呼ばせてもらう。
 ダセーワ大学のFランぶりといったら、うちの比ではない。一般教養で九九を教えている大学は、日本広しといえどもここの他に2校ぐらいしかあるまい。それどころか、小学一年生で習う漢字ドリルをやってるというウワサもある。
 はっきり言って、OKで九九が言えないやつはいない。何せ、入学試験の面接で九九の暗唱をやらされるのだ。それができなければ即不合格という厳しい試験をパスしてみんなこの大学に入っている。そういう自負が僕らにはあるんだ。
 それなのに、ダセーワの連中はOK生を馬鹿にする。OK生の女の子は「ナマOK」だとか言ってくる。
 確かに妊娠して退学は多い。だけど、そんな煽り方をするなんてダセーワはやっぱり九九もできない人間の屑の集まりじゃないか。
 この宿命のライバルである二校が雌雄を決する日がある。
 それが「OD戦」と呼ばれる学力コンテストだ。
 レベルも立地も近い二つの大学は、上層部は結構仲がいいのかもしれない。対決を含まない交流行事なら他にもちょくちょくあったりするし、ダセーワの講義の単位をOKの講義の単位にもできるらしい。まあ、いちいち他の大学まで講義を聞きに行くような学生はどちらにもいないが。
 ともかく、この「OD戦」は「知のテンポーザン」と呼ばれ、近所の別の大学の学生も見に来るぐらいの人気行事となっていた。
 通算成績はOK大学の2勝2敗4引き分け。歴史の浅い両校だから、こんな程度の回数しかやっていないけれど、拮抗しているのがわかるだろう。
 九九のわからない連中がOK大学と同レベルなはずがないのだが、どうやらダセーワの連中は予習をしてくるらしい。予習をする学生なんてマボロシのはずだが、そうらしい。
 なんて恥ずべき連中だ。今年は絶対に僕らが勝つ。今年の「OD戦」の大将は僕だ。僕が対象をやるからには絶対に勝つのだ。
 だから、ちょっとだけ予習をしようと思う。七の段は特に重点的にやっておこうか……。
作者にコメント

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