お題:求めていたのは曲 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:1039字

ロックの暴走
 オリジナル曲を作るのは、バンドにとっての一つの夢だと思う。それが学生の部活動で作ったバンドであってもだ。
 そんな俺の主張に、メンバーは難色を示した。
「オリジナル曲なんてやっても盛り上がらないだろ」
「そもそも、誰が曲を作るんだよ」
 二人ともロックな魂を持っていない。俺は落胆した。
 もはやこれまで、と俺は解散を宣言する。さらば、俺の青春。さらば、俺の最初のバンド。さらば、俺の夢。寿命はたったの三十分、一曲も演奏しないままに終わるとは思わなかったぜ。
「いや、待てよ。解散速すぎ」
「そうだよ。さっき組もうってなったばっかじゃん」
 いや、駄目だ。俺はもう君たちとはやっていけない。
 ベースの井村はまだベースを買ってないし、ドラムの花田もまだスティックを買ったところだ。経済的なダメージも今なら0だし、解散し時なのだ。
 オリジナル曲をやりたくないというのは、いわば音楽性の違いだ。「音楽性の違い」、いいね。いかにもバンドの解散理由になりそうだ。
 決定、音楽性の違いで解散! 以上!
 まだ何か言いたげな井村と花田を楽器屋に残して、俺はさっさと帰ることにする。俺は過去を振り返らない。ロックな人間には昨日も明日もない。今、今しかないんだ。ひりつくような痛みの中で俺は生きていたいから。

 家に帰ってさっそく俺は作曲依頼掲示板を開く。
 外ではすでにギガを使い果たし制限のかかる俺のスマホも、家ならwifiという夢の翼でネットの海へと羽ばたけるのだ。おっと、海なのに羽ばたいちまうのはおかしいか。
 メンバーのぼんくらどもは「誰が曲を作るのか」などと、これからバンドを組もうという人間とは思えない、志の低すぎることをのたまったが、俺にはちゃんと策があった。
 そう、この作曲依頼掲示板には曲を作りたい才能が集っている。
 俺はここに昨日、スレを立てておいた。自作の歌詞を書き込み、どうか曲を作ってくださいとお願いしてやった。昨夜の時点で花田がドラムを叩いたことがある聞いていたので、「これはバンドを組むしかない」と思い立ち、速攻でここまで行動しておいたのだ。
 俺は行動の速さには定評があるのだ。今ストロークは遅くても、将来的には速弾きの天才になる布石がこんなところに転がっているのだ。
 しかし、探せど探せど俺のスレは見当たらない。まさかのdat落ちである。
 どうやら掲示板の規約で、作曲依頼に新スレを建てるのは違反だったらしい。
 きやくをよまないろくっくs
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