お題:最弱の豪雨 制限時間:2時間 読者:40 人 文字数:1216字


 資料室に帰ると上司と鉢合わせた。

 「あぁ、ちょうどよかった。今人手が足らないんだ。ちょいとここに手伝いにいってくださいな。」

 口調はしっかりしているが徹夜明けのようだ。上司は、私に行先を告げつつ茶封筒を渡し同僚を連れて行くよう

に告げた。

 そこは、過疎が進んでほとんど廃村のような場所だった。

 「えーと、今回は大変ありがとうございます。いやー、一人だとさすがにキツかったのでたくかりました。」

 そう調査員が挨拶してきた。本当にその調査員一人のようだ。機材などもほとんど持ってきていないようだった。

 「ところで、何の調査なんですか?。俺たち上司にせかされて具体的な内容とか聞きそびれたんですがぁ。」

 同僚が困惑気味に聞いてくる。まぁ、上司からは渡された封筒には旅費と必要な機材の貸し出し票ぐらいしか入

っていなかったからな。

 「えーと、簡単に言いますとある時間帯に発生するにわか雨とですね。」

 「にわか雨ですか?。それならここでなくとも・・・。」

 「ここのにわか雨というかお天気雨は、特殊なっものでしてしかっかり記録をとれれば良いかと。」

 調査員は、予備知識をあまり与えたくない様子だった。言葉少なに説明を切り上げると持ってきた機材の設置を

指示しだした。機材を設置したのは畦道の状態みたいになっていた農道だ。所々舗装された頃を忍ばすように

アスファルトが瘡蓋のように地面に張り付いている。それ以外は、斑に苔むしていた。そんな道に等間隔に機

材を置いていく。大体百メートルぐらいだろうか。

 「あとは、記録されるのをまつだけですね。」

 そう言ってもらえて調査員は、私達を離れた農家に案内した。空き家のようだったが調査中は、借りられるよ

うに手配してもらったとのこと。そこの二階からだと設置した畦道がよく見渡せた。設置した機材は倒れたりし

ていないのが見てとれた。

 それは、唐突に始まった。

 それは、雲一つないのに降り出した。それは、滝のようだった。それは、銀色の帷幕のように緑の畦道の上を

ゆっくりと挽かれていく豪雨。完全に畦道の上だけにこの豪雨は降っていた。確かに珍しい気象現象のようだ。

 それから数分立った時、畦道の端から豪雨は白煙をあげ降り始めた場所へと押し返されるようにして終わり

を迎えた。

 そして、私達はぬかるんだ畦道に設置していた機材を回収して帰途に着いた。

 数か月もすると殆ど思い出すこともなくなっていた。だから、特盛パスタを食べている昼飯時に同僚からこの

話しをふられた時も生返事しか返せなかった。どうやら資料整理の時にその時の記録映像を発見したのだと云

う。

 「で、確認したらさあの豪雨の終わりの方さ。狸がうつってんだよ。その狸が豪雨に突っ込むと弾かれたよう

に引いていくんだ。豪雨がさ。なんだろうね。あれ?」
作者にコメント

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