お題:贖罪の道のり 必須要素:パスタ 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:1918字 評価:1人

パスタ忘れた
路地裏に連れ込まれ、数人にぼこぼこにされて、命の灯火の危機を感じていると、
「おい」
と、いきり立って私を袋にしているその人たちとは全然関係ない声がして、腫らした目で見てみると、
「あ、贖罪の道のりマンだ!」
ってなった。

贖罪の道のりマンっていうのは最近流行りのヒーローである。バットマンとかスーパーマンとかアベンジャーズとかアンパンマンとかワンパンマンとか戦隊ヒーローとかいるけども、そういうのと同じ。

「なんだこいつはあ!」
「邪魔すんじゃねえよ!」
「ふざけた格好しやがって!」
いきり立っている人たちはとてもいきりたっていた。とにかく誘いに乗らない私をぼこぼこにして麻の袋か何かに詰めて、海に捨てようと思っているのだ。

「その人は君たちの何かを奪ったのか?」
贖罪の道のりマンは私のことを見ていった。そんなことしてない。私はなんの悪さもしてない。ちょっと本屋に行って、予想外の本を発見して、懊悩し本かって、よっしゃじゃあ早く家に帰ってこの本読まないと、って思ってたら、声をかけられて、いや、いいですいいですって言ってたら、路地裏に連れ込まれて、なになになに?って思ってたら、ぼこぼこにされだしたのである。しいて言えば、時間を奪った多少。

「うるせえ関係ねえんだよ」
と、いきり立ってる人の一人がクラシックなことを言い出して、クラシックな動作でナイフとか出した。
しかし、すかさず贖罪の道のりマンがその手をつかんで、ナイフをぽろってさせて、その人の体を全部壁にめり込ませた。どこん!って音がした。近年まれにみるほど大きな音だった。フェスとかでスピーカーの近くにいた時くらいの音だった。

「こいつふざけやがって」
するともう一人のいきりたっているのも贖罪の道のりマンにつかみかかったが、それも軽く壁に埋め込んだ。どこーんって音がした。さっきとは微妙に音が違った。こちらの方が伸びがあった。なにが違うんだかはわからない。体格とか服の素材とか、アクセサリーの違いだろうか?全然わからない。

「君もやるか?」
贖罪の道のりマンが振り向きざまにそう発したところで、私はつかまれて無理やり立たされて、何何何ってなった。気が付くと首にナイフを突きつけられていた。わあ、クラシック。スタンダード。これだよなあ。これは絶対にあるよな。
「動くな、こいつを殺すぞ」
最後のいきり立っている人が私のことを盾のようにしていたのである。

「・・・」
どうするんですかね贖罪の道のりマンは?

すると突然、贖罪の道のりマンは手を前に突き出して、そこから衝撃波を出した。フェスのBoseのスピーカーから出てくる音にも似た、衝撃を伴ったやつ、ずんってやつ。衝撃波。それにより私ともども最後のいきり立っている人も吹き飛びそのまま壁にめり込んだ。ナイフも手から落ちた。その人の手が外れると、私は地面に落とされた。

「おっと」
それを贖罪の道のりマンが受け止めた。
「すまなかった危ない目にあわせて」
「いえ、大丈夫です」
キュンキュンしちゃう。

「けがは大丈夫か?」
「はい、ギリです」
ギリです、今。多分脳内麻薬のおかげでこうやって立ってますし、しゃべってますしみたいな感じです。エンドルフィンとかドーパミンが出てます。多分。

何せ贖罪の道のりマンが来てくれたのである。

多少のことはどうでもいい。ちょっとした熱とかあって家で寝てても、会社は休むけど、近所に贖罪の道のりマンがいるってなったら家出るだろ?そんで見に行くだろ?

「どうしてこいつらは君のことを?君が何かしたのか?」
贖罪の道のりマンは一応、そういうことをする。どちらサイドにも話を聞くみたいなことを。

そこで経緯を話した。本を買いに行ったら突然このような目にあったと。即堕ち2コマシリーズみたいな感じでしたと。

「ひどいな」
贖罪の道のりマンはそういうと、目をきゅいーんって音とともに光らせて、壁に埋め込まれた三人の顔にそれぞれ接近した。

「君は見ないように、下がっていなさい」
贖罪の道のりマンはいつもそうする。クリストファーノーラン監督のバットマンに影響を受けているのか、相手を殺すことはしない。ただとにかく洗脳する。

洗脳された相手は、都会でのこういう危うい生活をやめて、田舎とかで農作業をするようになる。

その後、
「こういう者たちはいくらでもいるな」
と言って、現状を憂いでいた。

ただ、私は私で、遠くに投げられていた本をもってきて、贖罪の道のりマンに、

「サインください」
とねだっていた。

その後も、そのサインを見るたび、心がキュンキュンする。
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