お題:小説家の過ち 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1046字
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小説家になる
 一文字も書けない。そう、書けないのである。
 締め切りはもう目前に迫っている。それに加えてお題まで提示されているが、ビックリするほど内容が出てこない。一体何を書けばいいというのだ。
 小説家の過ちというお題で、何を連想するのか。まずそれから考えていこう。
 そもそも小説家とはなんだ。小説を書くことが出来れば小説家だという人もいるが、小説家を名乗るには小説を書いて生計を立てるしかないと私は思う。
 私はまだ自分のことを小説家だと思っていない。いずれそうなりたいとは思うが、まだ自分で認めることは出来ない。
 仮に前者の例えを用いて自分を小説家だという風に考えたとしよう。その上で、小説家の過ちとは何か。
 小説家の過ちといえば、今直面している問題がまさにそうだろう。締め切りだ。締め切りが近いのに一文字も書けないのである。これはどうしてだろうか。
 小説家である以上、物語を想像しないといけない。想像を出来ないことには、一文字も書けないのだ。
 想像できないのは仕方のないことだ。よって、締め切りが近くても書けないのは何も問題ない。

「……で、何をブツブツ言って身体伸ばしてるんですか?」
 後ろの女が言う。私の担当編集となっている女だ。
「つまり小説は書けないのが普通なんだ。だから締め切りには間に合わないよ」
「……その話、先週も聞いたと思いますけど。今回の締め切りだとこれが三回目ですよ?」
 半眼で正論を言われて返す言葉もない。先週も、先々週もこう言って締め切りを逃れてきた。
 ただ、もう先延ばしには出来ないのだそうだ。締め切りは明日だ。
 私は唸って身体を縮こまらせる。どうすれば許してもらえるだろうか。
「……せめて、三日くらいは延ばせないだろうか?」
「先週も同じ理由で一週間延ばしたと思うんですけど」
 ああ、これはもうダメだ。これ以上自分の逃走路を確保できそうにない。
「……分かった。なんとかやってみよう、間に合わなかったら、申し訳ない」
「間に合う間に合わないじゃなくて、間に合わせるんですよ」
 編集の女は呆れ声でそう言った。ごもっともだ。小説家になるには、それくらい言ってのけて物語を紡ぎ出さないといけない。
 私は全てを諦めて目の前のパソコンに向かった。
 これを成し遂げることで、私は小説家になるんだ。
 私は文字を打ち込んでいく。後方からの圧に負けないように、自分だけにしか作れない物語を、画面の中に映し出していく。
 こうして私の物語は始まっていく。
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