お題:同性愛の体 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1300字

消え去る前の最後の言葉。
 どうして僕は彼が好きなのだろうか。なぜ男である彼で性的な興奮を覚えてしまうのだろうか。わからない。わからないけれども、それを彼に伝えたらこう言うだろう。「好きに理由なんているか」って。
 告白なんかせずとも、彼と僕は一緒に触れあうことだって出来るし、同じベッドで眠ることだって出来るだろう。それは友情の範疇でもあるだろうし、僕が性的な興奮を収めるための行為をしても、彼は受け入れてくれるだろう。
 だけれども、それが僕には気に食わない。なんて実際やった後に言ってしまったことがあった。拒絶しろよって。嫌ってよとも。
「そこがいい」
 彼はこう答えた。全てを見透かされているとはこのことだろう。自分の理想通りに動くと気に食わない。だから、僕の思うがままに彼はなる。そうすれば、結局自滅するのが僕らしい。ああ、本当に僕のことをわかっているんだなと改めて思うきっかけになった。
 暇な時に彼の家によって、時には過激な遊びをする。それの繰り返していた日々が今となっては凄く遠い昔に感じる。
 平穏、平和。良い時期だった。幸せだった。彼には彼女がいた。だけれども彼には関係なかった。彼には僕という彼氏と、彼女がいる。それだけだった。それでも良かった時代だった。
 だけれども、どうしてかな。人生って言うのは幸せは長く続かない。どうしようもない理不尽に巻き込まれてしまう時だってある。それが彼に関わっていないことであるならば、出来る限り彼を巻き込まないようにしなければならない。
 僕と同じチームの人間が言った。埒が明かなくなってきた、と。既に崩壊は始まっていた。もしかしたら、僕が煩悩に塗れてしまっていれば、そんな最悪な事態に巻き込まれずに済んだのかもしれない。だけれども、僕には理性が残ってしまった。だから僕は破滅することになった。
 品行方正が必ずしも良い方向に行くわけでは無い。正直者は報われない。それとも憎まれっ子世にはばかるなのか。
 どうして僕は違ったことをしてしまったのだろうか。どうして僕たちはその危機感を察知できなかったのだろうか。どうして僕たちは報われないことに自分から突っ込んで行ってしまったのだろうか。
 恐らくだけれども、僕たちはみんな酔っていたんだと思う。平和に、平穏に。だからこそ、絶対にどうにかしなきゃいけないという危うい正義感が働いてしまった。僕たちは上手く行きすぎていた。苦難を乗り越えて勝ち続けてしまった。奪われるものがなかった。
 もしも、今までの人生の中で大きな失敗が起っていれば、僕の肉体は消え去ることはなかっただろう。大きな失敗をしていれば、どこまでが大丈夫でどこからが危険なのかを判断できたのだから。
 後悔はいつも物事が過ぎ去ったあとから。彼に告白をきちんとしておけばよかった。あるいは助けてと言えばよかった。真実を告げておくべきだった。
 みんな、同じようなことを考えているんだろうか?
 死ぬ直前だというのに、僕はどうしてこうも色々と語りたがっているのだろうか。走馬灯も悪くはない。それを彼に告げておけたら、光栄だけれども、無理かな。
 きえたくないな。
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