お題:希望の海 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1114字

生命の海
 かつて人だったものが幽霊になって、精霊になるというのはこの世界では頻繁にある。
 だから、今日さよならしても次の日にはまた会える。もちろん幽霊になるのはほんの一部で大体は天国か地獄にいってしまう。
 その2つが本当にあるかはわからないけど、幽霊が実在し、精霊までも存在するならありえないことじゃない。ただ転生してきたという人は聞いたことはない。
 聞いたことがないなら、と私は実行しようと海へやってきた。
 海は母なる大地を産んだ偉大な存在、そんな存在へと還ればなにか答えは得られるはず。
「準備できた?」
「できてるけど、本当にいいの?」
 肩越しに振り返れば、親友の精霊は心配そうな顔をしてた。
「大丈夫。あなたを信頼してるし、また会いたいって思ってもいる」
 嘘じゃない。今では親よりも親しいといえるくらいだ。
「無理して転生しなくても今のままでもいいとやっぱ思うよ?」
「でもそれじゃわからないことはわからないままだよ」
 実例を上げれば、やりたいと思い実行する人が現れるかもしれない。ほら、自分はこの世界にあってないとか、時代が早すぎたとかね。
「残念といえば、過去にはいけないことかな」
「そんなのわからないよ? もしかしたらいけるかもしれない」
「そうかもね」
 海には希望がつまってる。たくさんの生命があり、たくさんの大地があり、たくさんの人を結びつける。
 そんな大きな存在に私は入る。波が私の足を包み込む。少し懐かしい気がした。幼い頃に母によく連れてきてもらった覚えがある。
「じゃあ行ってくるね。何年後になるかはわからないけど、待っててね」
「うん、わかった」
 私は歩を進めて、海を感じてく。
 呼吸すれば、潮の香りが身体を巡る。
「ーー! ーーーーー。ーーーー。ーーーーーーーー」
 親友の言葉が背中に響いてく。
 そして身体が少しずつ光出した。
 精霊となった人は魔法が使える。第六感を超えた能力。それ欲しさに幽霊になろうとする人はいたけれど、幽霊になるのはほんの僅か。精霊はさらにそのうちの何割だったろうか? 転生ができるとなれば、選択肢が広がるかもしれない。死のうとする人を止められるかもしれない。
「……っ」
 少し怖くなった。
「大丈夫、大丈夫……」
 思考能力は失ってない。親友の魔法は確実に発動してる。
「……ぁ」
 少しずつだけど、身体が溶け出してる感覚がしてきた。
 痛くない。
 不思議な気分。どこか飛んでいきそうなそんな気さえしてきた。
 波が肩まで届くようになって、私は呼吸の機能を失ってることに気づき変化が加速することを自覚した。

 そうしてーー視界が消えて世界が進んだ。
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