お題:ぐふふ、大地 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:1058字

レッドボーイの怪異 6
 はあ、と大地ミヨコは娘の部屋の前でため息をついた。
 今朝のニュースは、女子高生の刺殺体が見つかった話でもちきりだった。
 近所のマンションが映っていたのでもしや、と思ったのだが、やはり娘の同級生だったらしい。
 レッドボーイが、殺人鬼が、と錯乱したように叫ぶ娘をどうにかなだめ、学校と職場に休む旨を電話した。憔悴しきった様子の娘を何とか部屋のベッドまで連れていき、ようやく一息つけた。
 こんな話はもうたくさんだと思っていたのに、どうしてわたしを追いかけるようにやってくるのだろう。ミヨコの胸には、15年前の事件がよみがえっていた。
 ミヨコは一度離婚している。その前の夫との子が今の娘だ。
 元夫は非常に真面目で神経質な人間で、それ故に人とぶつかることが多く、それはミヨコも例外ではなかった。ほとんどモラハラのような夫から逃げるように、ミヨコは生まれたばかりの娘を連れても離婚を決意したのだった。
 それから1年後のことだった。
 元夫が小学生を通り魔となって襲い、12名を刺殺したというニュースが飛び込んできたのは。
 まさか、という思いの中で、やっぱりと思っている自分がいたことに、ミヨコは驚いた。
 元夫の潔癖な世間への感覚は、相手が小学生であっても緩むことはないのだろう。近所の子供を見守り、「ジョギングのおじさん」と慕われながら、「態度が悪い」とか「最近の子供は」とか家の中ではぶつぶつと文句を言い、時にやり場のない怒りをミヨコにぶつけていたのだから。
 わたしという歯止めがなくなって、あの人は暴発してしまったのだろうか。
 一度だけ面会に行った際、窶れはてた彼はこんなことを言った。
(襲われる前に、殺したんだ。あの、赤いガキどもに――)

 昼過ぎにドアのチャイムが鳴り、ドアフォンのカメラをのぞくと見知らぬ男が立っていた。
 警察だな、とミヨコは直感する。亡くなったアリサという同級生のことを聞きに来たのだろう。
 だが、この訪問者が口にしたのは今朝の事件の話ではなかった。
「10年以上前に起こった通り魔事件のことでお話を聞かせていただきたく……」
「どうして、今……?」
 驚くミヨコに、男は「荒唐無稽な話かもしれませんが」と前置きしてスマートフォンの画面を見せながら説明する。その内容は、ミヨコにとって崩れ落ちるほどの衝撃的なものだった。
「オタクの娘さんが、書き込んでいるのです。10年以上前の事件について、SNSに。この件と、最近相次いでいる刺殺体の事件はかかわりがあると思い――」
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