お題:日本式のふわふわ 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:1103字

レッドボーイの怪異 5
 まぶしさを感じて、わたしは瞼を開いた。
 枕もとの時計は、今しも7時を指そうとしている。
 生き残ったのだ。わたしはベッドの上で安どのため息をついた。
 クラスメイトのアリサが、聞くと夢に「レッドボーイが現れて殺される」という話をわたしに仕掛けたのが昨日のこと。
(レッドボーイに殺されるのを防ぐには、眠るまでにこの話を誰かにしないといけないよ――)
 そう言い捨てながら、「この話」が自分の語っていたどれを指すのかを言わなかったアリサ。
 何とか思い返して、ある殺人鬼の話がそうじゃないかと思い当たったわたしは、その話をSNSに投稿、そのおかげか死なずに済んだらしい。
 まったく、アリサのやつ本当に恐ろしいことをするものだ。
 朝日の明るさにホッとしながらわたしは自室からキッチンに向かう。朝食を食べるためだ。
 おはよう、と親に声をかけようとして、わたしは凍り付く。
 テレビでは朝のニュースをやっている。映し出されていたのは、見覚えのあるマンションだった。
 アリサが、住んでるとこだ。
 画面左上に踊る「女子高生が刺殺体で発見」の文字に目が釘付けになった。
「これ、近所よね……? ねえ、もしかして知ってる子?」
 母の問いに、わたしは答えることができなかった。
 おりしもアナウンサーが読み上げた名前は、アリサのものだったから。


 また死んだ。
 夜勤を終え、ひと眠りする前につけたテレビで女子高生の刺殺体が発見されたニュースをやっていた。被害者は自室で滅多刺しにされて死んでいたらしい。尋常な事件ではない。
「怖いわね……。親かしら? それとも、兄弟とか?」
 物見高い妻はそんなことを言って、「元警察官としてはどう?」なんて尋ねてくる。
 私は自分の中の動揺を押し殺し「派出所勤務だったからなあ……」とはぐらかした。
 ミネラルウォーターを入れる手が震える。やはり、つきものはまだいるのだ。
 レッドボーイ。都市伝説。複数の赤い子供のような姿で、腕が刃物になった――。
 考えを肝臓の薬と一緒に飲み込んで、私は寝室へ向かう。
 疲れていたが、眠る気になれなかった。スマートフォンで、つい情報を集めてしまう。
 妻と同じように物見高い者たちが、すでに被害者のSNSを探り当てている。すでに凍結されたらしいそのアカウントからとられた「ウェブ魚拓」から、私はレッドボーイの単語を探す。
 見つけた。
 彼女――@arissa0415のフォロワーで、一人だけつぶやいている。
 レッドボーイのことじゃない。あの、事件のことだ。
 何か知っているのか? わたしはその人物のアカウントへと飛んだ。
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