お題:残念な内側 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1196字

腹の内
 弟はイイ歳してアニメの美少女キャラに夢中で、姉としては気持ち悪いことこの上なかった。
 夫の友人に同じようなオタク趣味の人がいるが、そちらは爽やかだし、弟のようにキャラクターのTシャツを着たりはしない。何故ああならなかったのか、と悔しくもある。
「まあいいじゃない。仕事してるんだから、まともな大人だよ」
 夫はそうやってわたしの弟をかばう。
「俺の友達のあのオタクは、見た目は爽やかだけどずっと無職のニートなんだよ? それに比べたら、弟さんの方が社会的に勝ってる」
 そう言われると、うちの弟も捨てたものではないのかもしれない。ただ姉としては、もっと服装と言動に気を使ってほしいのだが……。

「こ、これ……」
 ある時、実家に帰ったら、弟が恐る恐るという様子で包みを差し出してきた。
「な、ナナちゃんにさ、どうかな、って思って……。誕生日、でしょ?」
 ナナはわたしの娘だ。確かに今月誕生日である。
「ああ、そう。ありがとう」
 一応お礼を言って受け取る。
「で、何?」
「な、何って……?」
「何か厄介な頼み事でもあるんじゃないの?」
「な、ないよ……」
 ないのか。てっきり何か魂胆があるんじゃないかと思ったが、純粋に姪っ子にプレゼントを買ってやっただけとは……。
 何か、気持ち悪いな。純粋な好意の方が気持ち悪い。

 プレゼントの中身はクマのぬいぐるみだった。
 ナナは小四にもなるので、こんな子供っぽいプレゼントはどうなんだ、とか、ロリコンが思い描く小学生の理想像を押し付けられてるみたいで気持ち悪いな、とか、色々な考えが頭を巡った。
 それでも一応、誕生日の夜に渡してみる。
「ありがとう! え、おじさんが……?」
「そう。お母さんからお礼は言っておいたから」
「え、でも……」
「いいの、いいの」
 じいじとばあばには「お礼を言いなさい」としつけてあるが、うちの弟にはいいだろう。普段気持ち悪くてごめんなさい、と言ってほしいぐらいだし。
「うふふ、かわいい。どこに飾ろうかな……」
「しまっておいた方がいいんじゃない?」
 そう言ったのだが、どうにも気に入っている様子で、翌日娘の勉強部屋をのぞいたら、首に新しいリボンをつけて棚の上に載せられていた。
 何よこんな、少女趣味な。ちらりと見ると、勉強机の上にわたしのやった文房具セットが箱も開けられずにうっちゃられている。
 何だか腹が立って、クマを摘み上げると、何だか目が光った気がした。
 これ、まさかカメラが……?
 煮えた腹が更に沸騰してくるようだった。わたしはすぐに鋏を取り出すと、クマの背中にその刃を入れる。そして、中のワタを割きカメラを探した。
 そんなものは入っていなかった。すべてはわたしの思い過ごしだったらしい。
 気に入っていたけど、まあいいか。そんなものは最初からなかった、とそう言えばいいのだから。
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