お題:トカゲのあそこ 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:780字
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拝啓、橘様。

たまたま立ち寄った駅前の本屋で『トカゲのあそこ』という珍妙な本を見つけてから、はや30分が経ちました。いかがお過ごしですか。
私は相も変わらず、人ごみに紛れて人知れず人並みの生活を営んでいました。今日この時までは。
その本を見て思わず目を取られてしまい、これはいけないと思い店中の本棚をあっちへうろうろ、こっちへうろうろしてみたものの、その本は一層私の脳内で存在感を増すばかりです。
背表紙には深い緑に金色の楷書でタイトルが彫られたその本は、さもありなんとばかりに無造作に棚へ突っ込まれておりました。
そのタイトルの魅力たるや。
あなたはご存じなかったと思いますが、実は私はトカゲが嫌いです。
ああ、今「嫌いなのかよ」とツッコみましたね? そうです、嫌いです。爬虫類なんて目はギロギロしているし、ほとんど舌は長いし、全体的にぬめっとしていてとても触る気になれません。
ではなぜこの本にこんなにも惹かれたのでしょう?
それはとても簡単な理由です。
あなたが、この本を私にとくれたことがあったからです。
忘れもしない11年前、あなたがこの町から出て行くと決めたとき。
形見分けのように、本棚に無造作に積まれていたそれを、あなたは私にくれたのです。さもありなん、と言わんばかりに。
私はあなたからもらったものだからと大切にしまっていたのですが、ある日家に帰ると本がビリビリに裂かれてゴミ箱へ捨てられておりました。猫の仕業かあるいは人間の仕業か、泣きわめいてもしょうがないと知ってはいてもやはり泣いてしまいました。
あの日なくした本を今更見つけるなんて、運命のようです。運命とあらば仕方ないので買って帰ります。仕方ないので。
まだまだ気温の安定しない時期、どうぞご自愛くださいませ。

敬具


「と思ったけどこれ、めっちゃ高いですね。やっぱやめとこ」
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