お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:396字
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自然への帰還
 威嚇された一頭のゴリラがすくみ上って、こちらに向かってきた。
「今回も、失敗ですね」
「うーん、ちゃんと自分を主張できれば、他のゴリラに引けは取らないはずなんだけどな……」
 原因はわかっている。そのゴリラが人間の手によって育てられ、群れにとっての余所者だからだ。しかし、こちら飼育員からすれば群れに返してあげたい。さて、どうしたものか。
「ほら、りんご持ってみろ、りんご!」
「ウホ」
 自分が手にした、赤い方意味をもう片手で指させば、そいつもりんごを手に取る。うん、理解力は問題ない。
「はい握るー」
「ウホ」
 手で押し潰す仕草をすると、見よう見まねでそのゴリラはぐしゃ、とりんごを潰した。
「握力にも問題ない。ゴリラとして十分だと思うんだがな」
 ゴリラは外見よりも力の強さで固体を認識する。なんとなく、人との生活で備わってしまった気の弱さを見抜かれてしまっているんじゃなかろうか。
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