お題:死にかけのダンジョン 制限時間:30分 読者:39 人 文字数:619字

解らない
父は無口な人間だった。俺とは似ていない。父は失敗しなかった。俺とは真逆だった。
俺は父が嫌いではなかった。でも、父が俺を好きなのかは解らなかった。
ましてや失踪した俺の事を父がどう思っているかなんて、解るはずもない。

迷路に迷い込んでいた。ゴールは無いらしい。どうやって確認したのか、簡単だ。地面に印をつけて右の壁に沿って歩き続けた。それだけだ。沿い続けた結果、俺は元の場所に帰ってきた。これは、この空間が閉じていることを意味する。父から習った位相幾何学がそう語っている。

じゃあ俺はどうやってここに来たのか、上下はどうだ?壁が動いている可能性は?
そう、出口がある可能性は0ではない。しかし、俺を絶望させるには位相幾何学は十分すぎた。

頑張っても出れないのなら頑張らない方がいい。情けない考えだ。大嫌いだ。
俺は時々そんな人間になってしまう。そんな俺に父が向ける目には感情が無かった。俺はその目が怖くていつも頑張っていた。叱られるのが怖かったわけではない、嫌われるのが怖かったわけではない。現実と向き合うのが怖かったのだ。
ちょうど今みたいに、ゴールのない迷路にいる事を証明してしまうんじゃないか、それがただただ怖かった。
怖いから走った、走って走って走った先にこの迷宮があった。
俺はそんな事したくなかったのに、ゴールがない事が証明された。
許せなかった。
認め難い現実だった。
俺は壁を思い切り叩いた。血が出ても関係なかった。
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