お題:俺と帝王 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:1144字

キングスメーカー
 そいつはディフォルメされたコウモリのような見た目をしていた。身長は50センチ程か、キャラクターグッズとして発売されていたら、女子中学生が目を輝かせて「かわいいー!」と言いそうな見てくれであったが、残念ながら生き物として俺の目の前にいた。
「おい……」
 しかもしゃべる。見た目よりも横柄だ。
「俺様はババナス。暗黒魔界の帝王候補だ、といえばわかるか?」
 知るかよ、と言いたくなったが、わからないのは残念ながら「暗黒魔界」の部分だけだ。
「ふ、恐ろしいか……?」
 返事がないのをそう解釈してくるとは。
「あ、えーっと……そう、間に合ってます」
「待て待て待て! 閉めるな、玄関! それは、セールス! セールスを断る時の常套文句だろう! 待てよ、こら! おい! チェーンをかけるなー!」
 小さな体を活かし、ドアの隙間にその身をねじ込んで、ババナスとやらは涙目で叫ぶ。
「勘弁してくれよ……。近所迷惑だろう?」
「知るか! こんな小さなコミュニティより、暗黒魔界全体の方が大事だろ!」
 こいつめ、と思わず俺はスイッチが入ってしまった。
「おい、ババナスとやら、それはおかしいだろう!」
 しまった、と思うも止められない。
「小よりも大を優先する、そういう場面も帝王には必要なことだろう。しかしだ、よい統治者というのは、小も大も等しく扱うものだ。少なくとも、そういう風に思わせねばならん。だから、そんなことを大きな声で叫ぶのは、帝王候補としては愚の骨頂だ」
 おおお、とババナスは目を輝かせた。
「これだ! やはりお前を訪ねて正解だった!」
 クッソ、そうなるよな……。俺は「マズッたなあ……」と天を仰いだ。
「やはり、お前こそ俺のパートナーにふさわしい。この未来の帝王ババナスを導く権利をくれてやるというのだ!」
 バシーン、と効果音がなりそうな感じでこちらを指差し……手じゃないからな、爪差しかな? まあいいや、とにかく人差し指を突きつけるような感覚で翼を向けてくる。
 俺が帝王候補を育てるのは、もしババナスを受け入れれば10人目になる。
 かつて、俺は世界的に遊ばれている育成対戦ゲームで国の代表になったことがある。というか、現在進行形でプレイヤーで、半年後にハワイで行われる世界大会への出場が決まっている。
 その腕を見込んだのか、色んな世界から俺の下に「王様候補」だの「女王候補」だのが訪ねてくるのだ。その内の一人を上手いこと王様にしてしまってからは、本当に引く手数多になってしまった。
 まあ、俺も悪い気はしない。しないのだが……。
「今ちょっと、手がいっぱいでな」
「何だと!?」
「ああ、ちょっと宇宙の王と天使長と異次元の覇者を育ててるからさ……」
 帝王は後回しだ。
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