お題:未来の信仰 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1082字

未来という時代
「未来の世界ではすべての宗教は消滅しているだろう」
 とある学者が発表したこの言説は、消滅を言い渡された宗教界から激しい反発を受けることになる。
「そういうところが消滅を招くというのだ」
 その学者は毅然とした態度を示そうとそう反論したが、信仰心篤い民衆からもバッシングを受け、自宅にゴミなどが投げ入れられる事態にもなった。
「ならば、本当に消滅していることを確認してきてやる」
 そう宣言して、学者はタイムマシーンを駆り、彼の時代からおよそ100年後の未来へと飛んだ。


「そもそも、タイムマシーンなんてものがあったのが驚きですよね」
 学者の下でともに研究をしていた研究員がそう言うと、住込みの書生もうなずく。
「一体どこから持ってきたのでしょう?」
「科学界で流行りの理論を用いて作られているとか……」
 二人はタイムマシーンが駐機されていたところを見やる。凄まじい音共にあの縦長のカプセルのような機械が消えてから3日経つ。学者が帰ってくる様子はなかった。
 それからさらに一週間が経った頃、タイムマシーンの飛び立ったガレージから再びけたたましい音が鳴り響いた。研究員と書生は急いでガレージに向かう。
「……戻ったぞ」
 再び姿を見せた縦長の機械の中から、学者がひょっこりと姿を見せる。
 無事な姿に研究員も書生も喜んだが、学者先生の不機嫌な顔を訝しむ。
「どうなされたんですか、先生?」
「未来の世界はどうでしたか……?」
 弟子たちの問いに、学者は深々とため息を吐いた。
「消えとらんかった……」
 え、と二人は顔を見合わせる。
「宗教、消滅しとらんかった……」
 がっかりという様子で、学者は肩を落とした。

「消滅してないって、どういうことですか?」
「どういうことも何も、言葉の通りだよ……」
 時間旅行後のメディカルチェックを自分で行いながら、学者は続ける。
「ある意味、今よりももっと悪い状態になっておった。私が行った時代よりわずか1、2年前には原理主義という思想が幅を利かせ、武装した連中が別の宗教の史跡を破壊しておった。それは世界中が認めた文化遺産だというのに、だ」
 何という、と書生は手で口元を覆った。
「それだけではない。聖地を巡っての対立は混迷して出口の見えない状況であるし、宗教をダシにして小さいところでは詐欺を働いたり、大きな所では国家間の対立を煽ったりする者もいた……」
「で、では、宗教は麻薬だと説いた我々の――」
 学者は静かに首を横に振った。
「とっくに負けておった。しかも、宗教の一種かのようにまで言われていたわい」
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