お題:俺の駄作 制限時間:15分 読者:57 人 文字数:1192字

駄作ですが
「駄作ですが、どうぞ読んでください」
 とんでもない文面で来たな、と俺はSNSの画面を見て唸った。
 この短文投稿SNSでは、ハッシュタグをつけて素人のWEB小説を募集するのが一部クラスタで流行っている。「たくさん読むため」とか「暇だから」とか「研究のため」とか言い訳をしているが、読み専でもない限りは「お前のを読んでやるから俺のを読めよ」という意味に他ならない。
 かく言う俺もその一人だ。「俺の書いたものを読むこと」と「リプ欄にURLを貼ること」を条件に募集をかけたのだが、その中にあったのがこの文面だ。
 どうぞ読んでください、と言っている割に「駄作」と評している。
 いや、読んでほしいんだったら自信のある、面白いものを持ってこいよ。
 もしかすると、へりくだりたかったのかもしれない。そういう場合は「拙作」という便利な言葉がある。「拙作ですが、どうぞ読んでください」みたいな使い方はしないが、ともかくどちらが適切かと言えば「拙作」の方であろう。
 知らなかったのだろうか。だとしたら、この小説は期待できない。語彙力のないWEB小説家気取りほど性質の悪いものはない。そういう連中が描く文章を読むと、こちらの文章力も吸い取られそうな錯覚を覚える。
 と、ここまでボコボコに貶めたが、逆に興味がわいていた。
 一本目はこいつのヤツにしよう。そう思ってリンク先をクリックする。
 お馴染みの、小説投稿サイト様ご推奨であらせられる見やすい(らしい)薄水色の背景色が出迎えてくれる。そこに大書されているタイトルを見て、俺は息を飲んだ。

「駄作ですが」

 タイトルかよ! まぎらわしいわ!
 一体どういう内容か、と思いながらその直下のあらすじに目を通す。

「西暦1880年、蘇ったフランス皇帝ナポレオンは、ロゼッタストーンの解読によって完成したタイムマシンで現代日本にやってくる。
 一方その頃、どこにでもいる普通の高校生、安城マキトはトラックに轢かれ謎の女神の前にいた。
 女神は安城マキトと、マキトとまったく関わりのない高校の一クラスを前に、こう言った。
 『みなさんには、殺し合いをしてもらいます』
 果たして、ナポレオンは宇宙を救うことができるのか――」

 頭が痛くなってきた。
 1880年の時点でナポレオンは確かに故人だが、だったらいちいち蘇らずにノータイムで来いよ。
 というか、その後が全く関係ないし、締めも何故か宇宙に飛び出している。
 一体どういう話なのか。
 各話へのリンクの表を見ると、話数が飛びまくっている。一番上が「第49話 マキト、死す」でその次が「第3話 ナポレオンの蘇生条件」となっていた。
 意図的につくられた駄作ということなのか、それとも、あのハッシュタグを利用する者への嫌がらせなのか……。リンクをクリックするのが、どうにも怖くなってきた。
作者にコメント

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