お題:僕の好きな多数派 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1061字

告白せずとももう。
 好きな男の人がいます。なんて文章を書いた場合、普通の人間は女性、それも少女と呼ばれる世代が書いたモノだと判断するだろう。
 だけれども、例えば『僕』っていう一人称を使った場合はどういう風に解釈するのだろうか? ボーイッシュな女の子を想像する人も少なくないだろうし、それとも少年が憧憬の念の意味で『好き』と言ったとも思うかもしれない。
 しかし僕は男で、それでいて好きという意味は、所謂愛の告白である。僕自身、所謂普通や一般の人と同じように、やっぱり異性を好きになったりしていたと思う。それが普通で正しいことだと勝手に認識していたから。
 別にきっかけはたいしたことじゃなかった。まだまだ子ども(あの人は僕を子ども扱いしないけれども)な僕に真摯な対応をしてくれた、それが最初だった。
 それから一緒に遊びに出かけたり、ゲームをしたり、無駄話を延々繰り返したり、たまには小さなことで揉めたりしたりした。それは多分、年齢の差さえあるけれども、友情と呼ばれる関係性になるのが普通なのかもしれない。
 だけど、いつからか、僕はあの人の隣にいると、心臓の鼓動が凄く早くなってしまった。最初は体調不良なのかなと思った。これから楽しいことがあるのに、どうしてこんなにも不安を感じてしまうんだろうって。
 そんな僕の急激な体調不良を見て、あの人はいつも以上に優しい声色で呼びかけてくれた。そして僕の身体を支えようとした。
 その時に、僕の心は跳ねた。最初は身体に触られたことに拒絶反応を示したのかと思った。だから思いっきり解放の手をはねのけた。彼は予想外の反応に驚いていたけれども(それまでも近すぎるスキンシップはあったから)、もっと僕をおもんばかってくれた。
 その日は結局僕はそのまま家に帰ることにした。だけれども、僕の頭の中は彼のことで埋まってしまっていた。ベッドに入って目をつぶれば、彼の顔ばかり思い浮かぶ。別にたいした顔じゃない。友達曰く冴えないで古い顔。言い得て妙だと思う。だけれども、僕の心は、脳は、身体は、その姿で熱くなってしまう。
 そうしている内に、僕は興奮していた。もう恐怖も不安も無かった。ああ、僕はあの人が好きなんだ。性別とかそういのを超越して、心から一番好きな人になってしまったんだ。
 
 しかしどうしてかな。冴えないぱっとしないと言っておきながら、地味にモテる人なんだ。それが。自然に多数の人に好かれてしまう。だから僕も、この思いを言い放つことはないだろう。
 でも、彼はいつか知るだろう。そんな気もする。
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