お題:今日のゲストはバラン 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:698字

なみだは要らない
 「ようこそ、お越しくださいました」
 寿司屋の出迎えにしては、大人しい。
 「二名で」
 「カウンター席でよろしゅうございますか」
 「テーブル席で頼む」
 「かしこまりました。こちらへ」

 席についても、レストランと変わるところは無かった。回転するベルトコンベアーも無ければ、職人が握るところを見せるわけでもない。
 「で、これが見せたかったのかい」
 「慌てないで、もう少し待って」
 向かいに座った相手に尋ねる。一つ年上だが、期が同じなので、こうして、タメ口を利かせてもらっているのだ。
 「先に寿司をたべましょう」
 「そりゃ、そのためでもあるけれどもね」
 メニューも、寿司に限定されているところを除けば、特に変わったところは無かった。

 「さあ、始まるよ」
 「え」
 皿に乗ったカッパを食っていると、店内BGMが変わった。
 ドリンクバーが、地面に沈み込み、天井からステージが降りてくる。
 そこには、寿司の着ぐるみに身を包んだ、バンドの姿があった。
 「イッツ・ショウ・ターイム」
 ”卵巻”が拳を突き上げると、大トロがシンバルを叩いてカウントし、穴子寿司のギターが歌の開始を教えてくれた。
 「寿司にー! 食われロー!!」
 ロックンロールな寿司たちであった。

 「面白かったでしょう」
 「他では見られないものを見たことだけは確かだな」
 頭の中で、まだ寿司が歌い踊っている。衝撃的なステージではあった。
 「じゃあ、今日はこれで」
 「え、もうかい」
 泊めてもらおうと思っていたのだが。
 「ごめんなさい。だって、」


 寿司の締めは、アガリと決まっているから。
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