お題:8月の愉快犯 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:836字

思った以上に書けなくて慌てたような話。
 苦しんでいる人間、悲観している人間、怒りを溜め込んだ人間、負に包まれている人間は大勢いる。そんな心に隙間を持つ人間に『悪意』は顕在する。だからと言って簡単に予期出来る者でもない。表面上では平然としていても、心の奥底では悩んでいるのもまた人間だ。ならば無理矢理にでも暴き出せばいいのかと言うと、それもまた違う。その暴かれた時に現れるかもしれない。
 とまあ、『悪意』というのはそれだけ厄介なものである。それは顕在した直後から暴れ出す時もあれば、時限爆弾に潜んだあとに破裂する時もある。
 だからこそ、夜にこうして町を駆け巡るのが一番『悪意』にたいして対抗しやすい。人によっては『侵略者』とか『怪異』とか『怪物化』『魔女化』と呼んでいるその変化は、夜に起こることが多い。

 今日も今日とて変わらずに夜を飛び回る。『悪意』を見つけてどうにかするのが、力を持つ者の当然だと思っているから。しかし、八月になったからか、夜でも暑くてたまらない。これが一ヶ月もすれば今度は涼しくて戸惑う日々が続くんだろうが。
 と、そんなことを思っていると、何やらもめ事が起きているような声が聞こえてくる。これがただのじゃれあいであることが多いのが夏だ。それでも度を超えた喧嘩をしていたら、能力や『悪意』の関係無しに止めに入らなければならないが。
 ビルの屋上から、もめ事の見物をする。どうやら仲間内での出来事らしい。しかしどうにもわざとらしい、ということはやはり楽しかったことの余韻のようなことなのだろう。
 他にも大声を上げている集団を見かけるも、やはり楽しげな雰囲気が勝っている。良いことだ。極稀に殴り合いをしていて止めに入ったら嘘で~すと柔やかに言われたこともあった。どうやらそういう風に見せるのが趣味だったようだ。なんという愉快犯。夏だからこそ起きる愉快犯だろう。
 やはり夏は良い。暑さではスタミナは消費するが、心は摩耗しない。こうした日々が続けば、俺はこんな力を使わずに済むのだろう。
作者にコメント

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