お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:57 人 文字数:1326字 評価:0人

やべえ友達
正体不明の小堤が届いた。宛先は俺、送り主も俺。というかアマゾンで買っていたようだ。片手では持てないが両手なら持てる位のサイズだった。実際持ってみると意外に重い。なんなんだこれは。開けてみると金属の板がいくつか組み合わさっている。......本当に心当たりがない。俺はスマホを取り出してアマゾンにログインした。
パスタマシンらしい。生地をくるくるして麺にするやつ。俺は何でパスタマシンを買ったんだろう。押し間違い? というか注文履歴はいつだ? 2019年1月1日......。元旦......。謎すぎる。そもそも今年の元旦て何してたんだ?
探偵じみてきた。面白い。そうだ、ラインのトーク履歴を見よう。元旦に会話をしてそうな奴のトーク履歴を片っ端からチェックする。あけおめしかないな。あ、俺これ返信してないぞ。あれ、こいつ今どうしてるんだっけ? ......思い出した!! あいつだ。あいつの話をする時は、10年前に遡らないといけない。

 あの頃の俺たちは本当に暇だった。本人達は認めないだろうけど、暇じゃないならあんなことはしない。学校の餅つきだった。正月明けに全校生徒で餅つきをするのだ、10人の班に分かれて餅つきをする。各班には臼と杵が支給されて指示通りにもちの元の下ごしらえ(?)をする。やり方は忘れた。ついた餅は集められて食堂の窯(窯なのか何なのか見てないからよく分からない)で焼かれるのだが、ボールにまとめて取り出されてしまうのでどれがどの班の餅なのか分からなくなってしまう。
 俺たちはこの事に大変憤慨した。そして、現状に一石を投じる作戦を思いついた。俺たちの班の餅をピザの生地と交換するのだ。チーズとトマトソースを内側に入れて見た目は餅に近づけたものを予め作っておいて、すり替える。窯の仕組み状、犯人がバレることはない。完全な計画だ。
 結論から言うと、作戦は失敗に終わった。ピザは生焼けで食えたものではなかったし(中のチーズはとろけておいしそうだった)俺たちは証拠もないのに怒られた。「冤罪です!」と言ってみたが怒鳴られて黙った。あいつはというと、どうやったら上手くピザが焼けるのか帰り道ずっと考えていた。

 大晦日、あいつから電話がかかってきた。パスタマシンが必要だと言う。なぜか聞いたら、ピザを上手く焼くためだと言われた。今思えば、なんでピザを焼くのにパスタマシンがいるのかも解らないし、そもそもなんでピザを焼いてるのか、俺にそれを買わせるのかも分からない。ただ、俺はあいつに言われるがままにアマゾンに型番を打ち、それを買っていた。あの頃、俺は少し精神を病んでいて、何を考えていたのか分からない。アマゾンで型番を調べてみると外国製のいいやつだった。オーダーメイドだ。だからこんなに時間がかかったのか。実物の梱包を解いてみるとそれが黒光りしながら姿を現した。職人が作ったんだろうなあ。ハンドルを回したりイタリア語(たぶん)の説明書を読んだりしているとドアベルが鳴った。宅急便だ。送り主はあいつだった。大きさはこれもまた両手で持てる位である。重さはパスタマシン程ではない。
 何かが、あいつが俺にしかけた何かが、今始まろうとしている。
作者にコメント

対戦作品一覧


ユーザーアイコン
作者:にい お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:63 人 文字数:3003字 評価:1人
先日の人間ドックで血糖値の高さを指摘されてから、甘い物禁止令が職場に発令された。同僚と揃って同じ結果を出たのが上司に知られたのだ。客が差し入れる菓子折りの箱が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:inout お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:88 人 文字数:3111字 評価:1人
スーツケースを片手に電車内に一歩入り込んだ途端、茶色の景色が広がった。野球場だった。中腰の、すぐに動ける体勢から、私はそのグラウンドを見た。守備側、バッターがキ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:44 人 文字数:2404字 評価:0人
「茶色・・・オレンジ色かな?はじめはそういう感じに見えた」国際興業バスに乗っていると、そういう話が聞こえてきた。後ろから。普通の感じの会話だ。聞くこともなかった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:57 人 文字数:1326字 評価:0人
正体不明の小堤が届いた。宛先は俺、送り主も俺。というかアマゾンで買っていたようだ。片手では持てないが両手なら持てる位のサイズだった。実際持ってみると意外に重い。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:熊木ウルス@ノベルアップ+ お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:38 人 文字数:2381字 評価:0人
「『ブラウン』やるか?」 さびれた宇宙港のそばにある、場末のバーで同僚のダレスに持ち掛けられたが俺は固辞した。「そんなの今からやっちまったら、明日出勤できなくな 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:56 人 文字数:3595字 評価:0人
久しぶりに会った姉は憔悴しきった顔をしていた。「どうしたの、って……。決まってんじゃんか……」 姉は大きなため息を吐く。義兄さん? と尋ねると「部分的にそう」 〈続きを読む〉

こっころの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:暗黒の花 制限時間:1時間 読者:31 人 文字数:1107字
私は花の幻覚が見える。朝顔とハイビスカスを足して2で割ったような見た目で色は黒。初めて見たのは祖母の葬式だった。悲しそうにする母や兄弟の傍らで私は親族間の遺産相 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:死にかけのダンジョン 制限時間:30分 読者:56 人 文字数:619字
父は無口な人間だった。俺とは似ていない。父は失敗しなかった。俺とは真逆だった。俺は父が嫌いではなかった。でも、父が俺を好きなのかは解らなかった。ましてや失踪した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:茶色い幻覚 必須要素:イタリア 制限時間:1時間 読者:57 人 文字数:1326字 評価:0人
正体不明の小堤が届いた。宛先は俺、送り主も俺。というかアマゾンで買っていたようだ。片手では持てないが両手なら持てる位のサイズだった。実際持ってみると意外に重い。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
※未完
作者:こっころ お題:重いバラン 制限時間:30分 読者:63 人 文字数:640字
夜の海ほど暗いものは無い。無限につづく水平線は距離感を狂わせて、真空に放り出されたような孤独を象徴する。すがるような気持ちで船底をなぞってみても、その下に眠る 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:小説の囚人 制限時間:30分 読者:71 人 文字数:706字
田舎だから、車で通勤している。田舎じゃなかったら車なんて買わなかった。乗れれば良かったから安くてダサい小さい車を買った。でも、乗り始めると愛着が湧いた。毎朝一 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:同性愛の暴走 制限時間:30分 読者:68 人 文字数:367字
あの頃は毎日のようにキャッチボールをしていたね。別に野球部でもないし、ピッチャーでもなかったのに、とにかく夢中で投げたよね。君はすごい。ただただ速い球を投げるの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:僕の好きな人間 制限時間:30分 読者:97 人 文字数:163字
色んなことがありました。本当に色んなことが。悪いことがたくさんあったんです。凄く悪いことがたくさん。そしてたくさんの人が悲しみに包まれて、今も包まれています。君 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:純粋な動揺 制限時間:1時間 読者:125 人 文字数:1409字
もう貸せませんよと言われた。コンビニだった。何のことやら、そう思ったけれども店員は箸をつけるかどうか聞いてくれなかったし、温めが必要か尋ねてもくれなかった。彼の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:暑い娼婦 制限時間:1時間 読者:192 人 文字数:250字
街灯が灯り始めたが、ついに男は現れなかった。女は水面に映る街灯の列をぼうと眺めていた。「お嬢さん、元気を出しなさいな」見かねた街灯が話しかける。「ありがとうござ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:綺麗なカラス 制限時間:1時間 読者:185 人 文字数:653字
朝起きると背中がむずむずかゆい。寝返りが打てない。触るとゴワゴワするものが背中についている。僕は知っている。これは翼だ。知っている。なんの役にもたたない。でも翼 〈続きを読む〉