お題:ありきたりな外資系企業 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:448字

捨て犬拾いますか?
 長年共に暮らした愛犬が死んだ。捨て犬だったのを拾ったのが18年前。かなり長生きした方だ。
 あの日は雨が降っていた。キュウキュウと哀れな鳴き声を耳にしたとき、俺は絶対に音の発する先を探すまいと心にカギをかけた。それなのに、その箱を見てしまった。濡れてよれた段ボールの箱。縁に手をかけ必死で顔をのぞかせている仔犬。黒い濡れた瞳に俺が映っていた。
 俺は優しい人間ではない。平々凡々の能力でこの世を渡っていくにはドライにならざるを得ない。その犬だけが特別だったのだ。現に今も目の前の男に段ボールの箱を突きつけている。
「その箱に私物を詰めて速やかに退去するように」
「え、解雇ってことですか?」
「そうだ」
 男は一瞬ためらい、箱を受け取った。
 ここではこんな光景は日常茶飯事だ。誰かが抜けた後はすぐ別の誰かが埋める。能力主義のどこにでもある会社だ。
 だから感傷的になるな。
 そう思うのに、目の前の男は濡れた瞳で俺を見上げる。
 やめろ。そんな目で俺を見るな。お前を遠ざけた意味がないだろう。
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