お題:セクシーな海 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:691字

「海」に落ちる。
「海でもいこっか」
 と、彼女が言った。
 季節は冬、正月休みも終え、親友との新年女子会でのことだった。
 年が明けてもやることがない、と私がこぼしたことに端を発した話題だったと思う。
 なんで、泳げないし、やることないし、と思う心内をよそに、酒の回った女たちはわいのわいのと次の週末の計画を立て始める。
 その場の勢いにつられ、じゃあ私はグラビアでも撮ってやる、と言って実家で埃をかぶっていた一眼レフカメラを持ち出す流れになってしまった。

 翌週末、彼女の運転する車で、本当に近くの海まで来てしまった。
 冷たい風が吹きつけていたが、季節に似合わぬ快晴で、思いのほか過ごしやすかった。
 到着してすぐに靴を履き替える。女二人のやけっぱち旅というのに、まるで初めてのデートにでも出かけるような初心な恰好で、海をなめてると言われても反論できないいでたちだったのだ。

 車を降りると、生臭いとも磯臭いともつかない臭いがツン、と鼻を突き抜けた。
 二人してしばらく海風にあたっていたが、やがてやることもなくなると、私が持参したカメラをあちこちに向けてはとりとめのない写真を撮り始めた。
 やれ画角が、やれ逆光がなどと気取ったことを言っているうち、防波堤の先端まで来ていた。

「ねえ、このまま落ちたらどうなるかな」
 と彼女が言う。
 いつもいつも、突拍子もないことを言い出しては周囲を驚かせることが多いが、今日はどこか、ゾッと背筋に走るものがあった。
「やめときなよ」
 と私が言うと、
「ごめん、もう落ちてた」
 と振り向きざまに笑っていた。
 その瞬間にしゃったーをおとしていた
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