お題:捨てられた町 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1043字

捨てられた町で美を追い求めた彼女の末路
「この星ももう捨てられたのか」
太陽系第三惑星、地球。
自然は豊かで住人たちは笑顔にあふれていると宇宙ではまことしやかにささやかれていた。
だがその実態は捨てられた町であることに変わりはない。
謎の泥の塊が岩と化しており、奇妙なオブジェが立ち並んでいる。
「ユートピアだなんて、幻想だったってことよ」
散らばっている地球人が読んでいたと思われる絵のたくさんある書物を読みながら女性隊員はため息をついた。
「でも、もういなくてよかったんじゃない? 見てよ、これ」
本の写真にはたくさんの地球人と思われる裸の女性が様々なポーズをとっていた。
「あなた。絶対地球に残るって言うでしょ。うちの星の人たちの何倍もきれいよ?」
「そんなことはない。俺は君一筋だ。だがこの本は今後の参考資料として俺が持ち帰ろう」
「絶対家で読む気よね。ダメよ。何らかの感染リスクがあるかもしれないんだから」
彼女はそう言うと本をはるかかなたに投げたような格好をして、こっそり背中のバッグに隠した。
「そんなバレバレの方法で持って帰らなくてもいいでしょ」
「だって、綺麗になるヒントがあるかもしれないわよ? きっと何か書いてるわ」
「感染リスクの話はどこに行った」
「スキャンして画像として保存すれば問題ないわ」
彼女はカバンからスキャンマシンを取り出し、本の内容を全て取り込んだ。
「さて、帰りの宇宙船は退屈しそうにないわね」
こうして俺たちは捨てられた星の、捨てられた町を後にした。
星に帰ったとき、彼女は自分の知識を大っぴらに公開した。
スキンケアには肌の保湿が大切だということ。そのためには泥パックというのも効果的だと話す。
「きっと地球の泥はそういった効果が期待されたと思うの」
「だから、また行くのか?」
「ええ、大丈夫。ちゃんと帰ってくるから」

そういって彼女は帰ってこなかった。
俺が星に行ったとき、彼女はすでに泥の塊で、人とも獣とも言えない奇妙な物体として蠢いていた。
「……美の追求にはリスクがある、ということか」
俺も彼女にならって、地球の泥を顔にかぶる。
次第に肌の艶が出てきた気もするが、同時に体の痺れが出てきて、足、指先と末端から自由は奪われていく。地上の土が生き物のように俺の体を下から飲み込んでいくかのようだ。
その土はどこか暖かかった。
そして彼女とともにここで同じ運命をまっとうするなら、悪くないと思えた。
「これが、スキンケアか」

おわり
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者: お題:捨てられた町 制限時間:30分 読者:306 人 文字数:1272字
廃墟の様な建物が続く町。汚い、と思う。でも、その次の瞬間には、綺麗だ、とも思った。輝く、と言う訳ではないんだ。割れた窓。かけたコンクリート。むき出しの鉄骨。色の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:地獄洞窟 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:139 人 文字数:1003字
どんな事態にもあらかじめ逃げ道は用意されているもので、困難に向き合わず逃げ出した先の隠れ家もなかば公認されているのが常である。禁止をむやみと掲げるのは、ルール 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
地獄のOL ※未完
作者:ジャギP お題:地獄の川 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:117 人 文字数:898字
現世は地獄だとはよく聞くが、地獄もまた地獄だ。生きている者は皆どこでも勤労に汗をかかなければならない。 現世では人材が死ぬまでこき使われるそうだが、地獄でもそ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
幸せを求めて ※未完
作者:匿名さん お題:高貴な宇宙 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:175 人 文字数:1420字
人生において、もっとも重用なものは何か。 そう問われれば、私は迷い無く“高貴であること”と答える。 貧乏でも構わない、幸せならそれでいい。多くの人はそう言うだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:鳥れば お題:うわ・・・私の年収、帝王 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:232 人 文字数:938字
「おはようございます、帝王!」 私の姿を見るやいなや、女性社員は慌てて頭を下げた。一方の私は挨拶を返すどころか、目線さえ遣らない。 帝王とは、そういうものである 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:ひぐち お題:悔しいにおい 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:205 人 文字数:876字
脇が臭い。夏休み前の大掃除。一通り終わって、定位置に戻した机を雑巾で拭いていて、気づいた。俺、臭っ。なにこの匂い。腋を嗅いでみる。臭い。もう一度深く吸ってみる。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ゆるふわな平和 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:258 人 文字数:931字
肌のお手入れっていうのは奥が深いものなの、昔姉が言っていたことを今になって思い出す。いざ自分がやるとして、それがよくわかる。化粧水にパック、材料は豊富でやり過ぎ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:最後の信仰 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:265 人 文字数:2704字
「ふぁああ~」多々良はあくびをしたあたりで、新宿門に到着しました。昨日は酔ったな・・・。若干昨日のことを後悔していました。血が出たのにお酒飲んで挙句暴れたら酔う 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ピュートロン お題:永遠の絶望 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:616 人 文字数:1150字
オレは、強い。どうだ、世界を嘆いてきて、それでもあきらめずに研鑽したオレの技は……この腐った世界を、叩き潰すために手に入れたこの技は、なんだてめぇは、なんでそん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
告白 ※未完
作者:熊猫 お題:茶色い誤解 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:283 人 文字数:782字
茶色い誤解といえば、だれもがまずいちばんに想像するであろう出来事、というか、物質があるわけで、そして、これはそんなにややこしい話ではない。★そのとき俺は、トイレ 〈続きを読む〉

ろくなみのの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:暗い秋 必須要素:ガム 制限時間:30分 読者:23 人 文字数:1680字
8月31日っていうのが俺はどうにも苦手だ。だって夏休みの最後の日を思い出すだろ? 学生が終わって就職した今、夏休みもない状況でそんなことを感じるのはおかしいっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:今日の正月 必須要素:子供 制限時間:30分 読者:23 人 文字数:948字
「今日の正月はいつもと違う」 お年玉袋を凝視しながらいとこの雄介はそう呟いた。「そりゃ少ない時だってあるよ。あんまりわがまま言ってたらまた優子姉ちゃんに怒られる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:捨てられた町 必須要素:スキンケア 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:1043字
「この星ももう捨てられたのか」 太陽系第三惑星、地球。 自然は豊かで住人たちは笑顔にあふれていると宇宙ではまことしやかにささやかれていた。 だがその実態は捨てら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:かたい幻覚 必須要素:グーグルマップ 制限時間:30分 読者:50 人 文字数:1112字
「おい軟弱者。運転中に携帯をいじるんじゃあない」 今助手席からドライバーである僕を軟弱者扱いしてきたのは、昔から僕の隣にいる山田さんだ。 山田さんはとにかく硬い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:気高いピアニスト 必須要素:靴紐 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:1211字
自分がピアニスト以外の職業になるだなんて考えたことがないし、とても誇りのある仕事だと自負している。 朝食を食べるときにだって、その誇りを忘れたことはない。「お 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:打算的なぬくもり 必須要素:にゃんまげ 制限時間:30分 読者:47 人 文字数:1439字
「お前、ゆるキャラとか、あれ全部中身おっさんだからな」 クラスメイトのたかしくんが、バスの中でパンフレットを静かに見てはしゃいでいる僕に、そう悪意もなく声をかけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
BMW
作者:ろくなみの お題:うへへ、敗北 必須要素:BMW 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:587字
「かっこいい車乗ってる人って素敵じゃない?」 大学時代、そのような話が食堂で聞こえてきた。スルーしようとも思ったが「やはり車か」目の前の席の男の言葉で思考を遮ら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:灰色の冤罪 必須要素:旧約聖書 制限時間:30分 読者:49 人 文字数:857字
「入れ」 聖書を手にした白毛の青年は、看守の言われるがままに、牢屋に入った。「罪人ってのは、いかにもな雰囲気があるやつがほとんどなんだが、お前さんはどうにもそう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:真紅の怒りをまといし村 必須要素:おっぱい 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:542字
男性ともなれば、女性の胸部、すなわちおっぱいが嫌いな者は少ない。現に私も好きだ。 だがこの広い世界。どこの村にどんなおっぱいを持つ者がいるのか、探る必要がある 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ろくなみの お題:嘘の尿 必須要素:絵画 制限時間:30分 読者:59 人 文字数:434字
今回紹介したい作品はこちらです。1874年。かの有名なレオナルドダビンチの親戚が描いたとされる『嘘の尿』というものです。 作品そのものは、ただ放尿している少年 〈続きを読む〉