お題:死にぞこないの整形 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1030字

三年後くらいに再登場する面々。
 容姿を変えて名前を変えて住まいを変えて経歴を変えて何もかもを変えたところで、一度死んだという事実は変わらない。
 もちろん肉体的には死んだわけではない。だが全てを変化させても蘇るわけでもない。言うなれば死にぞこない。ゾンビである。

「そんなゾンビに頼らないといけないくらい、困っているということがまず問題なんだけれどねえ」
「ンフフ…… 頼ってきた側が口に出すのなら、実はそこまで切羽詰まってないのかい?」
「ま、生きてますからね」

 どうやら彼女にとっては死んでいなければ大事ではないらしい。まあ、それくらいの余裕があるからこそ、このゾンビである人間を頼るという選択肢を取れたのだろう。

 彼と彼女がどういう関係性か。まあ、よくある話だ。裏切ってはいないつもりであったのに、裏切り者扱いとされた。おそらく、彼女を知る誰かの陰謀であろう。しかも相手は彼女以上に信用を得ている人間だ。一筋縄ではいかない。
 運が良かったことは、彼女が前々から自分の周りから感じ取れる、人ではないナニカを見る視線に気がつけたことだ。
 紙一重であった。もし脱出するのが一日、いや一時間でも遅かったなら、良くて無期限の拘束。最悪この世に存在していたこと全てを否定された上での死だろう。
 しかしながら、彼女は自らの弁明をせずに出奔したということは、結果的に組織を裏切ると言うことが事実になってしまった。だから彼女を捉えようと追っ手を差し向けるのも当然。
 逃走中は不運であることが多かった。彼女と親しかった人物と真っ先に出会ってしまい、戦闘行為に走ってしまった。最悪この人のためなら死んでもいいと思っていた程の相手を前にして、大きな動揺は隠せなかった。
 それでも彼女は退けて、上手く組織の戦力圏外に出ることは出来た。しかし、今度は伝手がない。そのまま野に下り続けても悪くはないのだが、何をするにも腹は減る。そして雨風を凌げければ体力も日に日に弱っていくだろう。

 そこで彼女は実質ゾンビであるこの男を頼った。あろうことか、彼は彼女が中心となって排斥した人物であった。もっとも、彼にはきちんとした容疑があり、遅かれ早かれ組織を追われる人間であった。
 組織内での政争に敗れた。彼にとって幸いは汚点を抱えたままであっても生きていけたことだ。だからこうして、組織内で生きていた時よりも楽に暮らしいている。

「どうするんだ。復讐するのか? それとも別のナニカか?」
「ま。ね」
作者にコメント

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