お題:死にぞこないの整形 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1030字

三年後くらいに再登場する面々。
 容姿を変えて名前を変えて住まいを変えて経歴を変えて何もかもを変えたところで、一度死んだという事実は変わらない。
 もちろん肉体的には死んだわけではない。だが全てを変化させても蘇るわけでもない。言うなれば死にぞこない。ゾンビである。

「そんなゾンビに頼らないといけないくらい、困っているということがまず問題なんだけれどねえ」
「ンフフ…… 頼ってきた側が口に出すのなら、実はそこまで切羽詰まってないのかい?」
「ま、生きてますからね」

 どうやら彼女にとっては死んでいなければ大事ではないらしい。まあ、それくらいの余裕があるからこそ、このゾンビである人間を頼るという選択肢を取れたのだろう。

 彼と彼女がどういう関係性か。まあ、よくある話だ。裏切ってはいないつもりであったのに、裏切り者扱いとされた。おそらく、彼女を知る誰かの陰謀であろう。しかも相手は彼女以上に信用を得ている人間だ。一筋縄ではいかない。
 運が良かったことは、彼女が前々から自分の周りから感じ取れる、人ではないナニカを見る視線に気がつけたことだ。
 紙一重であった。もし脱出するのが一日、いや一時間でも遅かったなら、良くて無期限の拘束。最悪この世に存在していたこと全てを否定された上での死だろう。
 しかしながら、彼女は自らの弁明をせずに出奔したということは、結果的に組織を裏切ると言うことが事実になってしまった。だから彼女を捉えようと追っ手を差し向けるのも当然。
 逃走中は不運であることが多かった。彼女と親しかった人物と真っ先に出会ってしまい、戦闘行為に走ってしまった。最悪この人のためなら死んでもいいと思っていた程の相手を前にして、大きな動揺は隠せなかった。
 それでも彼女は退けて、上手く組織の戦力圏外に出ることは出来た。しかし、今度は伝手がない。そのまま野に下り続けても悪くはないのだが、何をするにも腹は減る。そして雨風を凌げければ体力も日に日に弱っていくだろう。

 そこで彼女は実質ゾンビであるこの男を頼った。あろうことか、彼は彼女が中心となって排斥した人物であった。もっとも、彼にはきちんとした容疑があり、遅かれ早かれ組織を追われる人間であった。
 組織内での政争に敗れた。彼にとって幸いは汚点を抱えたままであっても生きていけたことだ。だからこうして、組織内で生きていた時よりも楽に暮らしいている。

「どうするんだ。復讐するのか? それとも別のナニカか?」
「ま。ね」
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:死にぞこないの整形 制限時間:30分 読者:50 人 文字数:929字
Jは花束を墓石のまえに置くと周囲を一通り掃除して水を新しく変えた。二月の下旬で晴れ間が顔を出す午後だった。Jは深夜の急患で運び込まれた彼女のことを後から調べた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:周雨@アオッチキス お題:死にぞこないの整形 制限時間:30分 読者:54 人 文字数:1041字
昔から自分の顔が嫌いだった。不細工に生まれたわけではない。ただ、ほんの少しだけ…『目の形』がどうしても気にいらなかった。周りは『可愛い』『整った顔立ち』と言って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:谷矢チカフミ お題:明日の食器 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:584字
スマホで様々な料理のレシピを見ていると、お腹が切ない悲鳴をあげる。空腹を感じ、外食も面倒だから何か作ろうかと、冷蔵庫に残った材料だけで簡単に作れるレシピを探し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もき お題:腐ったデザイナー 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:749字
まったくどいつもこいつも使い物にならない馬鹿ばかりだと、イライラしながら俺はオフィス街の一端にあるベンチに腰掛け、先ほど買ったばかりのサンドイッチを食っている 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ひよよんとかなみの子ども お題:腐ったデザイナー 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:834字
色とりどりの世界がこの世。 一番綺麗だというのは、自分の血。流すのは簡単、でも痛い。少しずつ少しずつ針を通して、やっと出てくる。 もっとバッサリと切ってしまえ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:戦争と修道女 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:392字
荒れ果てた草原の中に一人の純白い身を包んだ乙女が立っていた。どこまでも荒原は続く。かつてここには人々がたくさん住んでいた。今ではその純白の乙女がただ一人佇むの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:俺の駄作 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1192字
「駄作ですが、どうぞ読んでください」 とんでもない文面で来たな、と俺はSNSの画面を見て唸った。 この短文投稿SNSでは、ハッシュタグをつけて素人のWEB小説を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:打算的な解散 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:391字
追い詰めた、と思った。 止めをさせる、と思った。 それが、隙だった。 委任状は集めた、出席株主の数も去年と変わらない。 勝てる。 議案は、賛成多数で可決される 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:イギリス式の人体 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:918字
本来ヘソがあるべきところあたりにネジがある。マイナスかプラスかと言えばもちろんプラスだ。漫画に出てくるみたいなヘソが金属になって腹に埋まっているみたいな見た目 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ウルス(文芸部アカ) お題:おいでよつるつる 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:609字
「おニイさん、オイデ、オイデ」 フィリピンあたりの訛りでそう呼び止められたのは、都心の繁華街の一角。 この辺り、客引きは禁止の条例があるはずだが、ちょいと裏通り 〈続きを読む〉

ダツ・ Ambroseの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:素朴な警察官 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:863字
「つまり貴方は犬のおまわりさんに引き連れられた子ネコみたいなものなんですよ。もちろん、私がおまわりさんですけれどもね」「キミが犬のおまわりさんなら、本性はこっち 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:真実の昼 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:882字
「兄さんのことが好きですか?」 その日の昼ご飯も、いつも通りに自分で作った弁当を食べて、午後の授業が始めるまで読書をするだけだと思っていた。活動休止中のこの部室 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:壊れかけの耳 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:927字
この耳が壊れさえすれば、私はあの人を愛さなくても良いのかもしれない。愛しているから、あの人が私以外の人と仲良さそうに話している姿に苛立ってしまう。いや、むしろ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:僕の好きな多数派 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1061字
好きな男の人がいます。なんて文章を書いた場合、普通の人間は女性、それも少女と呼ばれる世代が書いたモノだと判断するだろう。 だけれども、例えば『僕』っていう一人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:不屈の喪失 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:806字
「おっ、淫行条例違反者だ!」 彼女は満面な笑顔でそう口にしていた。いや、そうだけれども、そうだけれども、そうだけれども。「自分で言うな自分で」「でも違反は違反じ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:去年のところてん 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:998字
冷蔵庫に奥スペースにところてんが入っていたけれども、買った覚えが全くない。別にところてんが嫌いだというわけではないけれども、でも、勝った覚えがない物が入ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:寒い床 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:979字
「不思議ですね」「なにが」「お布団に入った直後は敷き布団も掛け布団も枕も全部冷たく感じていたのに、もう身体はぽっかぽかです」「今日は寒かったからなあ。そこの奥の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:生きている超能力 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1017字
『例え俺が今すぐに死んだとしても、俺が生きた証って言うのかな、そういう目に見えない力ってのが残ってはくれると思うんだよ。死してなお、なんてかっこいいことは言うつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:ゆるふわ愛されあいつ 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1134字
「俺は愛されている!」「そうです、兄さんは最高です。どこが最高という言いますと、そういうことを言っていても、顔は少し恥ずかしい感じを残している所だと思うんです。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:せつない家 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1122字
別に家族なんて言葉には、たいした意味はないと思っていた。誰しもが生まれた直後は持っていて、時には揉めたり、最悪には殺し合う関係性になることだってあるらしい。 〈続きを読む〉