お題:希望の別れ 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:636字

別れの算段
 シャンパンでの乾杯から始まり前菜を食べ終えた頃から、私は前々から計画していたことを実行し始めた。向かいに座る、顔はそこそこでお金もまあまあ持っているお上りさんな男に向かって私は、次々と罵倒の言葉を矢継ぎ早に紡ぎだす。とは言っても、それは彼を直接的に攻撃するものではなく、主語の範囲は広くし、該当する人間は人間でないみたいなニュアンスを醸し出すように言葉を選ぶ。できる限り、言葉を多く知らず、またいつも不満たらたらに生きているような、おつむの弱い女の子に映るように演じるのだ。
 ひとしきり言ったところで、目の前の彼が「もう別れよう」と言い出した。私は面を食らった表情をしてから、意味が分からないと訴えるように「どうして?」と訊き返すと、彼は眉間にしわを寄せながら言った。
「君がそんなに人のことを馬鹿にする人間だなんて思わなかった。君は自分のお眼鏡にかなう相手と付き合えばいい」
 そう言い残して彼は伝票を持ち席を立った。私は顔を俯かせて悲しそうなふりをした。腸の中はすっかり煮えくりかえっている。まるで自分の言葉が全世界の善意みたいにしやがって、ふざけたこと言ってんじゃねえぞクソ野郎。テメェみたいなのはこっちからお断りだ。
 しばらくしてウェイターが気の毒そうな表情でメインディッシュを持ってきた。私はそれを笑顔で受け取る。このホテルの料理は超一級品だ。一人でのびのびと最高の料理を食べられるなんて最高だ。ここで誰かいい男がナンパでもしてくれたらもっと良いのだけど。
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