お題:何かの冥界 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:694字

北極探査人
 北極を目指して、長い道のりを歩いてきた。
 極寒の寒さの中、水と食料をできる限り節約し、睡眠不足でもうろうとする頭、関節一つ曲げるだけで意識して動かさなくてはならないほど重い身体を抱えて、自分はやっとここまでたどり着いたのだ。


 しかし、そこには、花が咲いていた。
 緑の草の上に、黄色、桃色の大きな花が咲いている。チューリップに似ているだろうか。
 「バカな」
 私は、混乱していた。こんなことがあり得るはずがない。ここは、
 「ここは、火星表面だぞ!」

 故郷地球を遠く離れ、宇宙飛行士の自分は、この星に降りたったのが半年前(※火星時間での)
 それから、太陽発電で得られたエネルギーを伝達するための、中継器が動作していないことに気付き、設置場所である北極基地まで、こうして修理に来たというのに。
 なんなんだ、この光景は。零度を遥かに下回る気温の中で、この地域だけに当たり前のように花が咲いている。近づきながら、自分は幻でも見ているのかと、何度疑ったことか。

 そのとき、花が動き出した。風ではない。花が、草の下から根を引きずり出し、まるで動物のように歩きだしたのだ、こちらへ向かって。
 迫りくる妖しい花を、自分はどうすることもできず、待ち受ける。
 こんなトラブルは、想定していない。対応は、今ここで決めなくてはならない。
 「ようこそ」
 ”花が口を利いた”
 私の正気は、そこまでしか持たなかった。


 地球が水の星と呼ばれるように、火星は死の星だった。
 (ここは、火星のあの世だ・・・・・・)
 故郷を遠く離れた場所に来たことを、自分はようやく理解していた。
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