お題:不屈の人間 制限時間:15分 読者:52 人 文字数:1266字

大活躍! 不屈マン!
 街に火を吹く大怪獣・バラゴランが出現した。
 バラゴランは全高50メートルを超す巨大怪獣だ。頭には角が生えており、尻尾を引きずって歩きまわる姿は、正に怪獣といった容姿だ。食道の下に燃焼ぶくろと呼ばれる器官を持ち、口から火を吹くことのできる、ポピュラーな地球怪獣であった。
 このバラゴラン、これまでも全国各地の都市に現れていたが、そのたびに宇宙から来た何とかマンとか、数千年の眠りから覚めた○○ラみたいな怪獣にすぐに破れるため、あまり被害はなかった。
 そのため、人類は侮っていたのかもしれない。この大怪獣を。

 バラゴランだ。
 遠くの山を崩して姿を見せた怪獣に、わたしは心を躍らせた。
 まさか、わたしの住んでる街にやってきてくれるとは。
 わたしは怪獣が好きなんじゃない、怪獣を倒すヒーローが好きなのだ。
 きっと、このバラゴランを倒すために、宇宙から銀色の巨人が来てくれるに違いない。
 そんな期待を胸に、ゆったりと近づいてくるバラゴランを観察していると、わたしの目の前に一人の男性が現れた。
 ボディスーツにマントをつけている以外は普通の成人男性といった容姿で、わたしの好きな銀色の巨人というよりかは、アメリカの方のスーパーなマンの方に近かった。
「えーと、もしかしてバラゴランを倒しに来てくれた方ですか?」
「そうだ。私は不屈マン。不死身の戦士だ」
 すごく適当な名前だな、とわたしは内心がっかりする。やっぱり東京とか大阪でないと、有名なマンはきてくれないらしい。
「不屈マンさんは巨大化できるんですか?」
 できたら帰ってくんないかな、それでウルトラな方のマンが代わってきてくれないかな。そんな一縷の望みを込めてわたしは尋ねた。
「できない!」
 きっぱりと不屈マンは言い切る。
「じゃあ、危ないですよ。相手は火を吹く大怪獣ですよ?」
「そうだな。だが、私は不屈マン。不死身の戦士だ」
 何でまた自己紹介を繰り返すの? とわたしは若干疑問を覚える。
「不死身だから、バラゴランがいくら巨大でも殴り続ければ倒せる。何せ、相手は私を殺すことができないのだからな」
 滅茶苦茶な理論だ。
「できたら、巨大化できる人に代わってもらえますか?」
「そんな暇はない。巨大怪獣との戦いは、時間との勝負だ!」
 うんざりするような戦法をとるくせに、時間との勝負とはよく言ったものである。
 わたしが止める間もなく、不屈マンは「行くぞ!」とバラゴランに向かって行った。

 結論から言えば、不屈マンは勝った。
 不屈マンはバラゴランとの戦いで256回死んで、全身のすべての骨が折れたが、すべて再生して五体満足で帰ってきた。
 しかしながら、彼が帰ってきた場所は更地になっていた。
 何せ、不屈マンはバラゴランを倒すのに5日もかかっていたから。巨大怪獣が思うさま暴れたせいで、わたしの街は地図から消えたのだった。
 これがバラゴランの恐ろしさ……いや、違う。いくら言い繕っても違う。
 不屈マンの恐ろしさ、そう言った方がいいな、うん。
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