お題:淡いカリスマ 必須要素:コート 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:893字

勝手な妄想
散歩していたら、
「このカリスマ借ります」
という声が聞こえ、え?何?ってなった。カリスマカリスマ?カリスマデレマス?アイマス借りますって言ったのか?なんだ、なんていったの?ってなった。

見てみると、その人の家からその宅の住人ではない様子の小男が出てきて、歩きながらコートを羽織っていた。家の住人は何とも言えない淡い、淡ーい表情でそのコートの小男、小間使いのような小男を見送っていた。

「なる!」
ほど。私は察した。そのコートがカリスマという弄られネームで呼ばれているんだろう。若き日に購入したコート、当時一世を風靡したみたいな最先端みたいなコート。その家のその方はそのコートを購入したのだ。そのコートのおかげで随分といい思いをしたに違いない。足元まで覆うようなコートだった。しかし、最先端ということはつまり、言い換えればいずれ最先端ではなくなるということである。流行が大きければ大きいほど、時がたてばそれは時代遅れになる。時間が止まるわけでないのだから。

私は立ち止まり、桜の咲いた並木道を感嘆とした思いで眺めるみたいにその光景を眺めた。そしてそんな勝手な妄想をした。カリスマ。当時流行った。流行語にも選ばれたんじゃないかと思う。

それも今や聞く機会は少ない。あれだけ騒がれたのにもうほぼ聞かないといってもいい。だからこそ私の耳朶も、それを聞き間違え、混乱したんだろう。アイマスだのデレマスだのと聞き間違えたのだろう。もしかしたら場合によってはシャイマスだと思っていたかもしれない。

「カリスマ・・・」
皮肉な話だなあ・・・その家の住人のあの淡い顔を見ればわかる。もう言われたくないのに仕方ないというあの顔。何とも言えない淡さ。淡ーいピンク。白と並べなくては区別もつかないような淡ーいピンク。

弄られネームで呼ばれているんだなあ。

繰り返すけども、別にその家の人に事実確認をしたわけではない。ただの私の妄想。しかし自身の中でしたその妄想に私の胸は千々になり、急いで家に帰って、お酒をあおった。

そうしなくては、もう泣いてしまいそうだった。

あと繰り返すけど私の妄想。
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