お題:3月の冤罪 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:1778字

おひとよしも程々に ※未完
「ヤバイ・・・このままだと間に合わないぞ。」

一度は定時に会社を出たが、忘れ物を取りに戻ると部下に泣き付かれ作業を手伝う羽目になった。

それが終わって駅へ向かうと今度は電車の遅延。どうやら人身事故のようだ。

それもなんとか乗り越えて自宅へ戻り、シャワーを浴びて着替えていると

「〇〇さぁぁぁんたすけてぇぇぇ!明日レポート提出なのにPCが動かなくなっちゃった。このままだと単位落としちゃう。」

と隣の部屋の学生さんが俺の帰宅音に気が付いて、半べそをかきながらやってくる始末。

こんな大事な時に限って、こう何度も厄介事が続くのか・・・まったくもってついてない。

そしてその都度、わざわざ律儀に相手する俺も俺だ。

でも流石にこれ以上はダメだ。

これ以上別の事にかまっていると本当に間に合わなくなる。

間に合わなくなるからダメな筈なのに・・・

「本当にごめんなさいね・・・急いでいたみたいなのにこんなことになって。」

「いえ・・・仕方ないですよ。乗りかかった船ですし。」

僕は家を出て車を走らせ目的地へ向かっていた。

その途中、車を道の端に寄せて見るからに故障して動けなくなりオロオロしてる婦人と遭遇した。

ここは心を鬼にして通りすぎるしか他はない。

しかしだ

なんでこうなるのかわざわざ車を止めてしまった。

話によると俺の目的地の最寄り駅に向かっていたというからそれならと乗せたのはいいが、途中で肝心の荷物を車から降ろすのを忘れていたと一度故障した車の元まで戻り再出発。

これのおかげでほぼ時間切れが確定。

約束の時間に少し遅れるかもしれないとLINEで連絡はしたけれど、既読はつくが返信は無い。

「目的地が近いみたいだからつい甘えちゃったけど本当にごめんなさい。」

どことなく幼い印象の婦人は申し訳なさそうな声で謝罪する。

「まぁ急いでいるのはなんと言うか・・・自業自得なんですよ色々と。だから気にしないでください。」

そう、自業自得なのだ。元はと言えば遡る事バレンタインデー当日。

仕事上がりに彼女とデートの約束をしていた。

しかしトラブルが発生し、急遽そのトラブル対処に追われそのことをすっかり忘れてしまっていた。

なんとか終わった後もデートの事は頭から抜け落ち、そのまま連絡もせず家に帰り疲れに身を任せベットへダイブ。

朝、目覚まし用にセットしたスマホのアラームを止めるために手に取った際、膨大な通知案内をみて気が付いたのだった。

そこからは電話をかけても出てくれないし、メッセージを送っても短い返事だけで会話にならない。

ご機嫌取りのためにようやく食事の約束を取り付けたのに結局この様だ。

「過ぎたことは仕方ないですよ。それにほら、もうすぐ着きますよ。」

目的地の駅を示す標識が視界に飛び込んできた。

そこで婦人を降ろせば彼女の部屋までは数分とかからない。

「それじゃちょっと電話させてもらっていいかしら?」

「どうぞ。」

「ごめんなさいね。あっもしもし?」

早々に相手と通話がつながったようで安心した。

あとはどう言い訳するかだが・・・気が重い。

「あのぉ・・・」

婦人が申し訳なさそうに僕に声をかける。

「実は・・・あなたに迷惑かけたことを謝りたいって・・・すぐ向かうので待ってくださいって言われて電話きられちゃいました。」

終わった。

もうだめだ。ゲームオーバー。




「到着しましたよ。お連れ様は?」

「もうすぐ着くと言ってます。」

「それじゃ荷物も降ろして外で待ってましょうか。」

ここまで来るともう落ち着いたもんだ。腹はくくった自分から誘って遅れた。しかも2回連続で。

もうフラれても仕方ない。

「ごめんなさい・・・何から何まで。これよかったらどうぞ。」

婦人は荷物を降ろしている間に買いに行ってたのであろう缶コーヒーを俺に差し出した。

それを受取ろうとしたとき。

「きゃぁ!?」

なに躓いたのかこけそうになり俺の方へ倒れこむ。

条件反射で無意識にそれ受け止める。しかし体制的には抱き着いているようにしか見えない。

そして

「あんた・・・なにしてんのよ。」

声の方を見るとそこには汚いものを見る目で俺を見る彼女がいた。


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