お題:名付けるならばそれはつるつる 制限時間:15分 読者:172 人 文字数:496字

水ようかん
 ……宇宙みたいだな、と思った。

 宇宙。そう心の中で反芻する。それはなんだか、とてもしっくりとはまる表現のように思えた。透明感の強いスカイブルーの"それ"。
 お皿を小刻みにふるふると揺らす。すると、"それ"はそれまで保っていた姿を保てず、ぷるぷると小刻みに震えた。
 ムーディな照明から差した弱い光が、"それ"の中に侵入する。すると、中に浮かんだ銀色がその光を乱反射し、キラキラとその存在を主張してきた。
 全てを吸い込みそうなその透明感と煌めきに、私は思わず息を飲む。──美しい。ただただそう感じ入ることしか出来ない。そして、"それ"が持つ不思議な魅力を表現するのに、私は宇宙という言葉を用いることしか出来なかった。

 どうやらそれは、食べ物らしい。ゴクリ、と喉を鳴らす。私にはそれは、どうにも食べ物のようには思えなくて。恐る恐る、握ったフォークを刺し入れる。
 ──抵抗感もなく、スッとフォークは入った。ゆっくりと口に運ぶ。
 優しい甘さが口内にじんわりと拡がっていく。宇宙味、なのかな。
 私は表現を持ち合わせていなかったけれど、それにあえて名付けるとすれば、つるつる、だった。
作者にコメント

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