お題:昼のコンサルタント 制限時間:1時間 読者:17 人 文字数:721字

泡と都会とコンサルタント ※未完
最後のひとつの濁りを取り除いた私は椅子に深くもたれかかり、商品を曇らせないよう止めていた息を大きく吐いた。
デスクの上にはやっと一円玉ほどの大きさになった透明な球が不安げに置かれている。
その球を守るようにガラスのドームを被せ、携帯と財布をポケットに押し込み席を立った。
休憩頂きます、と言うと数人が軽く会釈で返事をした。
私の仕事場は小さなビルの三階にある。エレベーターがないため、昼におにぎりを買いに行くためだけに直角に近いような急な階段を昇り降りしなければならない。
薄暗い階段をおり、外にでる。強い日差しと焼けたコンクリートが発する独特の熱気に思わず眉間に皺を寄せた。
ビルの前に車が停めてあり、一人の男が立っていた。
男は百八十センチほどあるだろうか、背が高く、細身な体型が長い脚をさらに長く見せていた。ボリュームのない黒髪は綺麗なストレートで肩の上で真っ直ぐ前にかけて長くなるよう切りそろえられている。真っ直ぐな形の良い眉、一重の切れ長の目、先が尖った鼻、薄い口のほかに隈もシミもホクロもにきびもひとつもない顔はつくりもののようだ。
身体にピッタリとあったスーツに先のとがった靴を履いている。
曇りも傷もひとつもなく磨きあげられた滑らかな曲線の黒い車はデスクの上の球を彷彿とさせた。
男も車もくすんだクリーム色のビルに明らかに不釣り合いだった。
「香山様でお間違いないでしょうか」
男は見かけに合わない落ち着いた低い声で尋ねた。
「あ、はい」
知らない人に名前を呼ばれた驚きで上ずった声で答えた。
「私、昼休憩コンサルタント会社の井村と申します」
そう言って男は何も書いていない名刺を差し出した。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
文鳥先生! ※未完
作者:匿名さん お題:鳥の小説訓練 制限時間:1時間 読者:3 人 文字数:1706字
事実は小説よりも奇なり、とはよく言うが。これは一体全体どうしたことだろう。 「うげえ、つまんなっ。逆にどうしてこんなものが書けるんだ!?」 帰宅した私はかばん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七淵 お題:鳥の小説訓練 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:639字
…空は蒼く、風は強く、我々は海へと征こうーああ、人間の本は面白いや少しずつ、言葉をあやふやだけれど覚えたような気がして、わかったような気がして。なんとなく、わか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:アイネクラリネ お題:愛と欲望の地下室 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:1570字
···陰陽師、それは人をたぶらかし、食らう邪悪なる悪鬼羅刹を退治する者、そして、俺の先祖はそんな陰陽師だったらしい、俺の先祖の陰陽師は、昔、都で悪さをしていた九 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:静かな年賀状 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:1059字
ブロロロンというバイクの音が響く。続いてブレーキ音。次に硬い何かが地面に接触した。玄関にあるポストの入り口が軋んで金属が悲鳴を上げる。その後、ドサッと落ちる振 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:最強のテロリスト 制限時間:1時間 読者:5 人 文字数:1920字
5月というのに私達に容赦なく夏の日差しが注がれている。その中で捜索活動が続いていた。山に近い住宅街。山に行っていたら最悪だが、包囲できればこちらのものとも言え 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:春の同情 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:948字
電車を降りて駅の建屋から出るともう町は闇に飲まれていた。月の光はない。自転車小屋までは小さな街頭が便りだ。タイヤ横の自転車のライトのスイッチを下ろしてペダルを 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:那智 お題:小説家たちの爆発 制限時間:1時間 読者:18 人 文字数:1099字
「申し訳ありません」か細く震えた謝罪に、イルヌは手元の本からゆっくりと視線を上げた。目の前にはドレスの檻と、色とりどりのそれに埋もれるようにして囲われた憐れなピ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:星蘭 お題:冷静と情熱の間にあるのは風 制限時間:1時間 読者:27 人 文字数:4693字
相変わらず、こういう場所には慣れない。そう思いながら、スファルは待ち合わせ場所であるバーの前で煙草に火をつける。ふぅ、と紫煙を吐き出しながら、路地に視線を投げた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:残念な女の子 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:1569字
深夜、家族が寝静まった頃を見計らって、少女は自室で作業を開始した。 机に向かい、ノートを広げ、ペンを走らせる。 顔は、たぶん、十人並み。 胸、薄い。 腹、ぷよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夏風邪 お題:天才の体験 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:767字
柔らかでサラついた生地に舌が触れる。噛みついた唇でちぎり切れなかったチーズが、するすると伸びた。ソースに籠った熱が歯に沁みたが、すぐ目の前に迫っている美味の前に 〈続きを読む〉

青鈍の即興 小説


ユーザーアイコン
※未完
作者:青鈍 お題:信用のない唇 制限時間:1時間 読者:17 人 文字数:533字
彼女はよく唇を触った。手を指笛を吹くような形にして唇をつまんだ。唇がちゃんとそこにあるかを確認するように人差し指と中指でなぞった。親指で唇についた目に見えない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:青鈍 お題:彼女の人 制限時間:2時間 読者:24 人 文字数:1517字
今日も僕と彼女は僕が住むアパートの狭い和室で一日を過ごしていた。 日が暮れてきて薄暗くなった部屋で僕達は夕食の支度を始めた。 僕は壁に立てかけてある折りたたみ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:青鈍 お題:昼のコンサルタント 制限時間:1時間 読者:17 人 文字数:721字
最後のひとつの濁りを取り除いた私は椅子に深くもたれかかり、商品を曇らせないよう止めていた息を大きく吐いた。 デスクの上にはやっと一円玉ほどの大きさになった透明 〈続きを読む〉