お題:昼のコンサルタント 制限時間:1時間 読者:62 人 文字数:721字

泡と都会とコンサルタント ※未完
最後のひとつの濁りを取り除いた私は椅子に深くもたれかかり、商品を曇らせないよう止めていた息を大きく吐いた。
デスクの上にはやっと一円玉ほどの大きさになった透明な球が不安げに置かれている。
その球を守るようにガラスのドームを被せ、携帯と財布をポケットに押し込み席を立った。
休憩頂きます、と言うと数人が軽く会釈で返事をした。
私の仕事場は小さなビルの三階にある。エレベーターがないため、昼におにぎりを買いに行くためだけに直角に近いような急な階段を昇り降りしなければならない。
薄暗い階段をおり、外にでる。強い日差しと焼けたコンクリートが発する独特の熱気に思わず眉間に皺を寄せた。
ビルの前に車が停めてあり、一人の男が立っていた。
男は百八十センチほどあるだろうか、背が高く、細身な体型が長い脚をさらに長く見せていた。ボリュームのない黒髪は綺麗なストレートで肩の上で真っ直ぐ前にかけて長くなるよう切りそろえられている。真っ直ぐな形の良い眉、一重の切れ長の目、先が尖った鼻、薄い口のほかに隈もシミもホクロもにきびもひとつもない顔はつくりもののようだ。
身体にピッタリとあったスーツに先のとがった靴を履いている。
曇りも傷もひとつもなく磨きあげられた滑らかな曲線の黒い車はデスクの上の球を彷彿とさせた。
男も車もくすんだクリーム色のビルに明らかに不釣り合いだった。
「香山様でお間違いないでしょうか」
男は見かけに合わない落ち着いた低い声で尋ねた。
「あ、はい」
知らない人に名前を呼ばれた驚きで上ずった声で答えた。
「私、昼休憩コンサルタント会社の井村と申します」
そう言って男は何も書いていない名刺を差し出した。
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