お題:穢された光景 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:1039字

二人の間に
 西園寺さんと東さんは仲がいい。見ていて心が洗われるようだ。
 西園寺さんは割とお嬢様で、ちょっと世間知らずなところがあるらしい。確かに、何かにつけて子どものように無邪気にはしゃいでいることがあり、そういう様子がかわいらしい。
 一方の東さんはあまり裕福な家庭の子ではない、と聞いたことがある。さばさばしていてちょっと男っぽい。ゆるふわカールなロングヘアの西園寺さんに対し、東さんは髪も短い。まさしく正反対な二人で、だからこそ見ていて楽しくなる。
 尊い光景だと思う。教室の隅から見ていても、二人がしゃべって笑いあっているだけで、幸せな気持ちになれる。この光景を永遠に残しておきたいと思うぐらいだ。
 それなのに、最近これを邪魔するヤツが現れた。

「だからさ、ドリンクバーの飲み物全部混ぜたらそりゃまずいって……」
「でも、結構いけたよ。珍しい味で」
「どぅふふふふふ、西園寺タソは意外と味音痴でありますな、フォヌカコポォ!」
 清らかな二人の間に割って入る、醜い生き物。
「あれだったら、ティーバッグの紅茶の方がマシでしょ」
「あら、言ってなかった? わたしはティーバッグの紅茶は飲まないの」
「はい、キタ! きたよー、コレ! 西園寺タソのナチュラルお嬢様発言!」
 誰なんだよ、お前は!
 近づいて行って殴り飛ばしたくなる。その一昔前のオタクみたいな容姿としゃべり方が苛立ちを五倍にも十倍にも増幅してくる。
 そう、ヤツは今時珍しいぐらいにテンプレートなオタクだった。
 脂ぎった不潔な長髪に赤いペイズリー柄のバンダナ、デニムの上下にアニメの女の子がプリントされたシャツをインしている。背中にはゴツいリュックと来たもので、何年前の秋葉原かでんでんタウンからタイムスリップしてきたんだよ、と突っ込みたくなる。
「まったく、ミカったら……」
「うふふふ。そう言って付き合ってくれるところ、好きよ」
「キター! ああ、制服がいい匂いがしますなあ! 至福ですぞ、コポポポポ」
 ん、とわたしはそこで怒りが冷める。
 冷静な頭で考えると、この突如出現したテンプレオタク、何かがおかしい。
 何で、制服のうちの学校で、こいつは平然とデニムの上下を着てるんだ? 何で教室内で、リュックを背負ったままなんだ?
 そう思った瞬間、そいつはこちらを振り返った。そして、ニチャアと笑う。
(拙者は、あなたですぞ……)
 心の中に、直接語りかけてきた。
(あなたの、穢れた心ですぞ・・・・・・)
作者にコメント

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