お題:求めていたのは地獄 制限時間:1時間 読者:21 人 文字数:1192字

Cat or ?
 私が住む小さな町ではある問題を抱えていた。野良猫問題である。
 最近逃げ出したのかあるいは元々住み着いていたのか定かではないが、十数匹ほどが徘徊しているようだ。庭にフンをされたり、発情期の鳴き声や植木やゴミ箱などを倒すいたずらなどの被害に住人は頭を悩ませていた。
 そんなわけで偶数月に一度行われる町内会では猫の話題が必ずと言っていいほど挙がった。被害報告から始まり、どういう対策をしているという話が続く。そして、これだけやっているのに被害が耐えないから駆除をしてくれ、中には町内会や町政が動いてくれないのなら家猫を飼っている人に預からせようという話まで出てくるのがお決まりのパターンであった。
 そのあと、数十年勤めている町内会長はやわらかい口調で諌めるように、町内会としてそのような行動は難しく、町役場にかけあってみるよという解答で終わるのも通例であり、なかなか問題が解決せず一部の住民は不満を募らせていた。
 さてこの問題が大きく進展したのはこの穏便な町内会長が病気を患い、町内会長の立場を降りたことに始まる。
 後釜となったのは大事にしていた盆栽を一つ倒されたという野良猫に一番怒りを持った老人だった。他にも何かと被害にあっているらしく彼に話をさせると持病の話の三倍は長いと評判だ。
 彼は町内会長になると町役場に何度も何度も通い野良猫駆除を訴えた。穏便な旧町内会長は説得できていた彼らも、そのとても長い被害の話を毎日聞かされるのでは仕事にならないと根負けし駆除業者に委託をすることを約束した。
 その約束を取り付けた日、町内会長じきじきに手書きした号外が配られたのは今でも語り草で、駆除が終わった次の町内会ではその話題以外をそっちのけで役場の人間をどのように説得したかが丸々語られるのであった。
 駆除の数日後、ある新聞記事が目に入った。私が住んでいる地区は町の端にあり、その逆方向にある隣町が新聞の隅っこで記事にされていた。見出しはこうだ。
 「カラスが消えた!?」
 数行程度の記事はカラスの群れに悩まされていた隣町だったがなぜか姿を消したという内容で、おそらく大量にカラスが留まっていたであろう葉の落ちた大木ががらんどうになった写真も載せられていた。私はいやな予感がした。
 それまた数日後、予感通り私達の地区は阿鼻叫喚となった。カラスの群れが襲来したのである。おそらく野良猫がうろついていた頃はカラス達は猫の被害に合わないように避けていたのであろう。
 被害はすさまじくゴミはあらされ公園はフンまみれの地獄絵図。町内会長の盆栽は全て壊されるかフンまみれにされ、それに怒った町内会長が石をなげつけたところカラスに襲われ数針縫う怪我をしたらしい。
 いい気味だと笑いたいが私にも実害が出ている。今日私はゴミ当番の日である。カラスがゴミ箱をあらすのでその監視役だ。

 
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