お題:紅茶と諦め 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:1102字

お嬢様の好奇心
「わたしはティーバッグでいれた紅茶なんて、絶対に飲まないの」
 その言葉はどこか得意げに響いた。
 自分はハイソで上流階級のお嬢様ですことよ、オホホホ。
 そう言ってるように思えるのはあたしのひがみだろうか。
 ミカは確かにお嬢様だ。そもそも苗字が西園寺だ。西園寺て。「西」だけで苗字として成立するのに、二文字も足しやがって! という気持ちになる。
「ふうん、じゃあ何を取ってきたらいいの?」
 ファミレスのドリンクバーを注文し、あたしはミカに何が飲みたいかを尋ねた。
 「紅茶はあるかしら?」というので、ティーバッグをとってきてやったらあの言い草だ。
「メロンソーダ」
 いやいや、とあたしは苦笑する。
 そんなものだったら、ティーバッグでいれた紅茶を飲んでてくれた方がずっといい。
 だって、その方が西園寺ミカらしいじゃないか。
 何でメロンソーダなんだ。メロンは高級だけど、ソーダはそうでもない。どちらかというと、あたしみたいなヤツ向きの飲み物だ。
「炭酸が飲みたいの、わたし」
「さっき紅茶って言ったじゃん」
「第二希望よ」
 飲まない、と言われたティーバッグを持って、あたしはドリンクバーコーナーへ向かう。
 えーと、メロンソーダは……。
「ないじゃん……」
 クソ、面倒くさいお嬢様め!
 炭酸なら何でもいいか、とあたしはコーラをコップに入れて席に戻った。
 メロンソーダはなかったと告げ、代わりにとコーラを置くと、ミカはその黒い液体に眉をひそめた。
 あ、コーラ駄目なのかな? 薄々感じていたことではあったが、半ば嫌がらせのために持ってきた。ここまであからさまな顔をされるとは思わなかったが。
「知らない? ペプシコーラだよ」
「そう。わたしはコーラはチェリオのしか飲まないの」
「チェリオ!?」
 100円の自販機で売ってる、あのチェリオ!? ペプシでもコカでもなく、チェリオ……。無意味に炭酸ばかりが強い、あのチェリオのコーラがお嬢様はご所望らしい。
「ちょっと、何なのそのこだわり……。いい加減にしてよ」
「だって、東さんが取って来てくれるって言うから、リクエストをしてるだけよ」
「チェリオのコーラなんて、ファミレスにあるわけないじゃん」
「かと言って、ペプシに魂を売るわけにはいかないわ」
 東さんが飲んで、というのであたしはそうすることにした。
「わたし、自分で行ってくるわ」
 最初からそうさせればよかった、とあたしはミカを見送る。
 数分後、戻ってきた彼女の持つコップには異様な色の液体が注がれていた。
「え、何それ……?」
「全部混ぜてみたの。少しはしたなかったかしら?」
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