お題:進撃の同情 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1093字

哀れな同情屋
「うん、わかるよその気持ち……」
 トモサカはよくそういうことを言う。
 簡単に同意を示すので、トモサカは優しいという評価をもらっていた。
 「はぁ?」と思う。全開の「はぁ?」だ。首が90度を超えて傾く。耳が肩につくレベルだ。
 何でもかんでも、「わかるよその気持ち」じゃないんだよ。
 わたしが一番イラついたのは、ヒロちゃんにそれを言った時だ。
 ヒロちゃんは去年、お父さんを亡くした。一応、奨学金なんかで高校は卒業まで通えるらしいが、その先は不透明だ。お母さんも勿論働いているが、それだけでは厳しいのが今の世の中だ。
 ヒロちゃんは成績がいい。仲間内じゃ多分一番いい。勉強も好きだ。でも、大学進学は諦めないといけない。奨学金を借りても、返せるようになるかは難しいし、何よりも家計を助けねばいけないと使命感を持っている。
 そんなヒロちゃんに、トモサカは「わかるよその気持ち」と言うのだ。
 ふざけるなよ、と。お前みたいにふわふわ生きてて両親どころか祖父母も健在で、毎年正月にはグアムかハワイに行ってるようなヤツが、ヒロちゃんの気持ちを分かるはずがないのだ。葬式だって出たことがないに違いない。よくもまあ軽々しく口にできるもんだ。
 さすがに、わたしはトモサカにキレた。ちょっと来い、と引っ張って詰めた。
 トモサカは泣いた。そしてわたしを悪者にした。わたしの怒りには「わかるよその気持ち」とはならなかったらしい。クラスメイトを泣かして担任が介入するという小学生みたいなことになって、わたしは反省文を書かされた。

「アホじゃないの?」
 トモサカとヒロちゃん、そしてわたし。その三人ともを知っているユウコはそう断じた。
「いや、アホって……。でも、ああいう態度許せないじゃん。上辺だけっていうか」
「まあね」
 ユウコが同意を示したので、わたしは驚いた。ユウコこそ、トモサカを優しいと持ち上げ、癒し系だのなんだのと肯定的な評価を与えている張本人だったから。
「誰だってさ、トモサカが気持ちわかってくれてるなんて思ってないよ」
「やっぱり?」
 そりゃそうでしょ、とユウコは肩をすくめる。
「あいつは同情っぽいことを言って、それらしい態度をとって、それで終わりって人間じゃん? そんなの、よくわかってるよみんな」
 あんたが怒らなくても、とユウコは付け加えた。
「だけど……!」
「みんな、っていうのはもちろん、ヒロちゃんも含めてのことよ。トモサカに何言われようがさ、虫が飛んでるぐらいにしか思ってないよ」
 謝っとけ、とユウコはわたしにトモサカへの謝罪を促したが、わたしは拒否した。
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