お題:かゆくなる夜 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:658字

ホテルのコーヒーがやたら薄い
どこまでもどこまでも水で薄めたコーヒーみたいな、中途半端で必要のない気休めのようなことを聞かされていた。
やれ、どこの誰がなになに大学の推薦だなんだと、長い爪を持て余しながら言うものだから、そんなことが羨ましいなんておかしいぜ、と彼女がチョコチップクッキーをつまむ為に目線を下げた時に声を出さずに言った。
なにか口に運んでいないと落ち着かないのなら家畜にでもなればいいのに、女はそんな自分が賢いと思い込んでいた。別に僕も賢かないが、賢くないことを自覚している分控えめな方だ。
女は僕を蛇のように睨みながら、猫のような声で囁いた。
将来的に結婚するならやっぱり安定した職業の人がいいのだそうだ。何か資格を持っていて、語学が堪能で、それなりに鍛えていて、エトセトラ。
女が指折り数えるのを途中から聞き流した。三つでも聞いたら十分だろう。
メニューを見ながら、ふうん、とか、そうなの、と返事をしてやりながら僕は店員を呼ぶ。
焼き鳥と揚げ出し豆腐と、生ビールを頼み、代わりに出て来た枝前豆とひじきを口に運ぶ。大豆だらけになってしまったな。ひじきにも大豆が入っている。
何歳までには結婚したいという話に入り、とうとう子供は何人欲しいという話になった。
何も頼まないのにどうして一緒に居酒屋に来たのか尋ねると、ようやく女はメニューを眺めて静かになった。後五分聞いていたら身体中に湿疹が出来そうだった。
僕は気が弱い方なので、ビールを一杯飲みほしてからようやく言いたいことを言った。
僕たちはたった二回しただけだ。付き合ってない。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:環境 お題:かゆくなる夜 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:652字
「耳障り」という言葉を表すのに、これほど適した音はないんじゃないかと夏がくるたびに思う。引っ越した日からこの部屋に置いてあったクーラは黄ばんでいて、音も匂いも風 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:神近由恵 お題:かゆくなる夜 制限時間:30分 読者:229 人 文字数:1083字
昼間、雨が降っていたこともあってか、今夜はかなり蒸し暑い。扇風機を回しても、一向にすっきりしない。扇風機もなく風通しも悪いような場所にいたとしたら、今夜は地獄 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ほこりつもる お題:かゆくなる夜 必須要素:ビール 制限時間:30分 読者:361 人 文字数:1558字
ビールを4本あけた。左の二の腕がかゆい。30日前、一匹の蛾がお風呂場に舞い込んだ。断れなかった新聞がポストに溜まっていたために、そのスキマからしのびこんだと思わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:阿修羅湖 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:873字
ふと思い立って湖に身を投げたところ、ひとりきりと思った水中に先客がいた。悪鬼そのものといった顔をして、ひどく怒っている様子である。さては、夕涼みに水浴びでもし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
夏の後悔(真) ※未完
作者:匿名さん お題:危ない嘔吐 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:183字
限界だ真底限界だ。そもそも乗り物酔いが酷いのに、なぜ僕は車に乗ってしまったのか。この車は海に向かうという。いいじゃないか白い砂浜・青い海・そして水着美女とのアバ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:茂吉 お題:危ない嘔吐 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:519字
酒を飲みすぎて吐く。そんなのは全然危なくはない。周りに迷惑がかかるぐらいのことだ。胃の中に異物が入ったから吐き出す。生物としての生理現象に過ぎないだろう。人間 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
薔薇 ※未完
作者:匿名さん お題:美しい薔薇 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:483字
才能があるということは罪だ。思春期真っ盛り、いつものように自転車を漕ぐ僕は、14歳の夏にそう思ったのを覚えてる。才能があるばかりに、それをしなくてはいけない。才 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:前田 お題:バイオ目 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:512字
ついに発見された遺体は金色の目玉で、捜索隊は「はて、これは本当に人間だったのかしら」と訝しんだ。その疑惑は隊員の思惑から完全に外れた位置において的中していた。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
死神の目 ※未完
作者:もき お題:バイオ目 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:684字
少しでも指が目元に触れたり、意識的に目のことを考えると私は心のどこかから今まで経験したことのない、不安のような、ざわめきのようなものを感じることが多くなった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にぼし(ヌケガラ) お題:今の俺 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:533字
もう残った時間は少ない。この本の余白を使いここから脱出することについての考察を書いていく。直接脱出する為に必要なことは書いていない。あくまで三日三晩さ迷い続け 〈続きを読む〉

ブッ殺しろみんマンの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:捨てられた雑踏 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:810字
足の裏がとても暑かった。ビーチサンダルを忘れたぼくはなんでもないさという顔をしながら、サーフボードを片手に、肌に心地よいヤシの木が掻かれたシャツを着て砂浜を歩い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:近いところてん 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:664字
例えばの話だけれど、と松岡は前置きした。松岡というやつはそれはもう前置きが長い男である。私などは彼のことを、前置きが長い男である、とほら、こうも簡単に言ってみせ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:苦し紛れのハゲ 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:707字
どうにもならない出来事というのはどうにも存在する。例えば私が千年以上も前からずっと片思いをしていた相手が、千年以上も私をまったく振り向かないだとか、そういう。初 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:神の夕方 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:821字
ヤツルちゃんが歌を歌っていました。真っ赤な髪が、くるくると回る度に空間に筆を下ろしていくようで、彼女が歌い終わったら夜が来るものだから、学校のみんなは彼女が時間 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:安全なエリート 制限時間:15分 読者:63 人 文字数:651字
ユグニア山脈の麓、川沿いに2ガテロほど進んだ辺りに亡命者の集落が出来ている、とは手紙の通りだ。木々の赤々とした実りを残念な思いで見送りながら、僕とロアは歩いてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:かゆくなる夜 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:658字
どこまでもどこまでも水で薄めたコーヒーみたいな、中途半端で必要のない気休めのようなことを聞かされていた。やれ、どこの誰がなになに大学の推薦だなんだと、長い爪を持 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:寒い電車 制限時間:15分 読者:36 人 文字数:444字
渇いた音を立てて強い光が走った。スマートホンで、二人のツーショットを撮った。特に、猫耳とか髭は付けない。かわいく撮ったって仕方ないから。明るくなったのは一瞬で、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:生きている月 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:730字
また明日ね、とその横顔を見た。噴水広場からインターロッキングをとつとつと歩いていく背中は返事をしない。後れ毛が眩しいけれど、ここでお別れだ。私はシイとナナを連れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:マンネリな爆発 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:810字
ちゃぶ台に肘をかけて、どんどん増える不可思議なコーラをすすりながら何本目かの映画を見ていた。座椅子は腰の所に奇妙なスペースが出来ていて、嫌なタイプのふかふか感を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ブッ殺しろみんマン お題:天国の電車 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:630字
リューカトロの橋を越えた先、深くたなびく運河を越える鉄道。それが羽のないものが雲の上を移動する唯一の手段だ。羽つき一年目のシオンは、ここへ来るのも初めてな上、街 〈続きを読む〉