お題:寒い電車 制限時間:15分 読者:37 人 文字数:444字

どうやら私は短慮でした。

渇いた音を立てて強い光が走った。
スマートホンで、二人のツーショットを撮った。特に、猫耳とか髭は付けない。かわいく撮ったって仕方ないから。
明るくなったのは一瞬で、そこからはもうずっと暗い。切り取られたかのように赤になったり緑になったり、信号が夜を切り替えようと必死だ。
私は隣で瞼を閉じる彼に上着をかけてやりながら、ジュブナイル映画の主人公みたいな気持ちで体重を預けた。
後何時間かしたらいなくなってしまう体温が愛しい。陳腐な表現だけど。
鈍い金色から覗く耳は、まだ私の溜め息を聞いてる。だから心配させないように私は幸福な、くすぐるような、口角をあげた笑いを零した。
ドアは開きっぱなしだった。今日に限って、大型トラックも全然通らなかった。振動を感じて動く景色を妄想して、夢で逃避行すら出来なかった。
銅像の犬は鳴かないけど、遠くでサイレンがうう、と吠えた。
深夜0時を過ぎてしばらく、緑と黄色の電車の中。床は黒々としていく。広がって行く。
入り口から点々と、彼の命が続いていた。

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