お題:バイオ火 必須要素:ラガーマン 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:767字

紫炎
(#137)

 自国で世界的なラグビーの大会が開かれる。
 そのニュースを聞いた瞬間、きっと国の誰もが飛び上がって喜びを表現しただろう。
 かく言う私もまた、隣に偶然居合わせた名前も知らぬ女性と抱き合って飛び上がったものだ。
 ついに、国の長年の計画が実行される機会が訪れた訳なのであるから。

 灰色に変色した小さな球体を取り囲むようにして、濃い黒色のガラスが嵌まっているゴーグルを着けた男たちが息を潜めていた。皆の視線は一様に、小さな球体の変化を見守っている。
 髪の毛が焦げるような臭いが薄らと鼻に届いたと思った瞬間、それは起こった。
 小さな球体がジリッと弾けるような音を発した。
 そして、藤の花のように繊細で美しい紫色の炎が現れた。
 どよめきが起こった。たった今、この世に生まれ出た命を消さないように、くぐもるような音量ではあったが、男たちの熱量は十分に共有されたことだろう。
 炎はなおも小さく、ゆっくりと揺らめいている。
 男たちを誘惑するように艶めかしく、それは優雅に自身の存在を誇示し続けていた。
 一人が欲望に堪えきれないのか、体を震わせながら自身のゴーグルに手を伸ばし始めた。
 それに気付いた隣の男が咄嗟に手を止めようとするが、間に合わなかった。
 ゴーグルを外した男の裸眼に映った炎は、今までで初めて経験する甘美な感情をもたらした。
 男の目は虚空をさまよい、その口元はだらしなく緩み、唾液が口角から流れ始めた。
 周りを取り囲む男たちは、ゴーグルを装着したままで、変化していく男の様子を静かに観察する。
 実のところ、こうなることは予測済で、誰が一番最初に誘惑に負けるかは賭けだった。
 国で最初の犠牲者の成り行き。
 その結果を生かして、ラグビーの大会で活用すること。
 それが男たちの目的だった。
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