お題:宗教上の理由で口 制限時間:15分 読者:61 人 文字数:1271字

思春期の期待
 うちの高校の近くにあるミッション系の女子高は、女子のレベルが高いことで有名だった。
 というか制服が可愛いので、どんな女の子でも3割増しに見えるのだ。
 更に言えば「ミッション系」という言葉もそそる。ベールに覆われたようなエロシチズムがある、というのは俺の友人の玉木の言だ。
 その玉木が、妙な話を仕入れてきた。
「ミッションの子は婚前性交渉が禁じられているから、付き合っていざ『する?』みたいな空気になったら、口でするように教え込まれているらしい」
 健全な男子高校生にとっては、凄まじい話だった。
 とりわけ、「教え込まれている」というのが、何というかヤバい。語彙力を失うほどの衝撃だ。
 誰が、一体どうやって教えているのか。あのレンガ造りの校舎で何が行われているのか。
 その真偽を誰もが確かめたいと思ったが、そこに辿り着く宝の地図を誰も持っていなかった。
 あいや、その語彙力を失うほどの衝撃を受けた副作用で回りくどい表現になってしまった。
 えーと、誰もミッションの子と付き合ったことなんてなかったのだ。
 うん、そう。そういうこと。だって怖いじゃん、なんかさ。そんなにガッツけないし。
 だが、玉木は違った。ガッツをもってガッツきにいった。
「俺は口でされるということに憧れを感じている。何故なら、口はそういうことをするための器官ではないからだ。真珠のような花びらのような唇が触れるというのは、きっと天にも昇る心地に違いない。それこそ、天国がここにあると実感させてくれるだろう」
 玉木は冒険者であり、詩人だった。
 こいつなら、きっとミッションの女子とも付き合ってくれる、そういう凄味があった。
 顔がいいわけではないが、ナンパとは押しの強さがモノを言う。知らんけど。やったことないし。
 ともあれ、玉木は宝の地図を求めて旅立ったのだった。

 それから一月の内に、玉木にはミッションの彼女ができた。
 みんな祝福したし、さんざん弄った。そして噂の真相を確かめるように急かした。
 玉木は熟練の冒険者のように慎重だった。いくらチキンと罵られようとも、自分の決めたペースを崩さず、慎重に物事を運んで行った。
 そして三か月目、遂に「明日のデートでやれると思う」と明言した。ネットカフェに行くのだ。
「今まで自然派のカフェとかで我慢していたが、今度は個室だ。向こうもわかっている、いや対面でわからせるんだ」
 運命の日の翌日、玉木は暗い顔をしていた。
 どうしたんだ、と聞かれて玉木は情けない顔で言った。
「……立たなくなった」
 結論から言えば、「口でする」は本当だったらしい。
 とは言え、それは玉木や僕らが夢想していた者とは違っていたが。
「歌を歌うんだ。神さまを讃える歌さ」
 ネカフェの個室で下半身を露出した玉木に対し、彼女は小声で歌い出したという。
 そうすると、玉木は導かれるように「達した」そうだ。
「それから立たなくなった。そう言ったら、彼女にこう言われてフラれた」
 退けサタン、お前のそれは呪われた、と。
 
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